日本シリーズ第7戦で好投



チームを日本一に導く好投を見せた宮城

 26年ぶりの日本一に輝いたオリックス。勝負を決めた第7戦(神宮)にプロ初の中4日で先発登板したのが、プロ3年目の宮城大弥だった。

 山田哲人、村上宗隆、オスナの強力クリーンアップを無安打に封じ込めるなど、5回3安打無失点の快投。直球は150キロを計測し、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォークを徹底して低めに集める。特に村上との対決は圧巻だった。2回の1打席目はフルカウントから内角低めの直球で空振り三振。村上の頭には外角低めに鋭く変化するスライダーがあっただろう。裏をかかれた配球に反応できない。バッテリーを組んだ伏見寅威の洞察力と、その要求に応えた宮城の勝ちだった。

 4回の2打席目は一転して緩い球で翻弄。初球に106キロのスローカーブを投げると、1ボール1ストライクから再び95キロのスローカーブでボテボテの投ゴロに。緩い球は制球を間違えるとスタンドに運ばれるリスクがある。日本シリーズの大舞台で、宮城は勇気を持って遅球を投げ込んだ。

 日本一で歓喜に沸いた試合後の共同記者会見では、ヤクルトのクリーンアップを無安打に抑えた投球について質問が飛んだ。宮城は「まぐれだと思います」と謙虚にコメント。同席した中嶋聡監督、山本由伸が笑う。監督や先輩たちの顔色をのぞき込む初々しい姿は21歳の青年だった。ただ、チームを背負う主力選手としての自覚は備わっている。「最高の舞台で投げさせてもらえていることに感謝したいですし、その場面にいてすごくうれしく思いました。(シーズンは)あんまりいい形ではなかったんですけど、いろんな先輩方に助けてもらいましたし、すごく先輩たちに感謝するシーズンだなと思います」とよどみない口調で語った。

 2年目の昨季は先発ローテーションに定着して13勝をマーク。新人王を獲得し、25年ぶりのリーグ優勝の立役者となった。プロの世界で活躍することは難しいが、活躍し続けることはさらに難しい。真価が問われた3年目は3、4月が5試合登板で1勝2敗、防御率4.55と波に乗れなかったが、5月は3勝0敗、防御率2.59と立て直す。その後も好不調の波が激しかったが、先発ローテで2年連続2ケタ勝利の11勝を挙げたことは大きな価値がある。

投球技術に投げる体力


 宮城の世代は豊作の年と言われている。佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、西純矢(阪神)、森敬斗(DeNA)、石川昂弥(中日)と宮城を含めて6人がドラフト1位で指名されている。特に最速164キロを計測した佐々木朗の潜在能力はズバ抜けている。4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で初回二死からプロ野球新記録の13者連続三振を含む19奪三振で、史上最年少の20歳5カ月で完全試合を達成。この試合に先発で投げ合ったのが宮城だった。

 佐々木のような衝撃的な球はない。ただ、直球は球速以上の伸びで多彩な変化球、抜群の制球力で打者を翻弄する。宮城は投球技術だけでなく、投げる体力もある。興南高3年夏に沖縄県大会決勝で延長13回に押し出し四球で敗れたが、先発で229球を投げ抜いた。球数を費やしても故障がないのは肩、ヒジに負担が掛からない理想のフォームで投げ続けている証だ。

 オリックスを取材する記者は「投球技術、体力、メンタルの強さとすべてが備わっている。特に体が強いのは大きな魅力です。日本シリーズは山本由伸がケガで、宮城を中4日で抜擢したがいつもどおりの投球を見せてくれた。中日の山本昌さんを彷彿とさせます。馬力のある選手は選手生命が長い。名球会入りの基準である通算200勝は厳しいハードルですが、宮城なら十分に可能性があると思います」と期待を込める。

 2年連続「投手5冠」に輝いた絶対的エース・山本由伸の存在も大きな刺激になる。宮城の全盛期はこれからだ。

写真=BBM