西武・森友哉、日本ハム・近藤健介ら大物選手が今オフにFA権を行使するか注目されている。FA移籍はその選手だけの野球人生を変えるわけではない。移籍前の球団内の旧年俸が日本人選手上位3位までならAランク、4位から10位まではBランクとなり、金銭補償と人的補償の対象になる。人的補償は移籍先の球団がプロテクトした28人から外れた選手から選ばれる。過去のFA移籍を紐解くと、この人的補償で他球団に移籍し、光り輝いた選手たちがいる。

新天地で盗塁王に



ヤクルト時代の福地

・福地寿樹(西武→ヤクルト)
※石井一久の人的補償
通算成績 1009試合出場、打率.272、20本塁打、184打点、251盗塁

 人的補償で活躍した最高傑作と言ってよいだろう。広島では代走、守備固めでの出場が多かったが、2006年3月に西武にトレード移籍すると、同年に25盗塁、07年に28盗塁と活躍。同年オフにFAの人的補償でヤクルトに移籍すると、リードオフマンとして大輪の花を咲かせる。プロ15年目の08年は初の規定打席に到達。131試合出場で打率.320、9本塁打、42盗塁で自身初のタイトルを獲得した。09年も42盗塁で2年連続盗塁王に。大器晩成の野球人生だった。

黄金期の中日で存在感



中日時代の小田

・小田幸平(巨人→中日)
※野口茂樹の人的補償
通算371試合出場、打率.197、2本塁打、45打点、0盗塁

 巨人在籍時は阿部慎之助が不動の正捕手として活躍していたが、当時の中日・落合博満監督は強肩が武器の小田を高く評価していた。野口がFA移籍すると、プロテクト枠から外れていた小田を迷わずに獲得。中日でも谷繁元信という絶対的な司令塔がいたが、スタメン出場した際に独特の配球術と強肩でチームを支えた。2007年に日本一に輝くなど、リーグ優勝3度と黄金時代の一員として巨人の8年を上回る9年間プレー。野口は巨人での在籍3年間で計1勝のみと明暗が分かれた。

自慢の脚力でチームの力に



広島時代の赤松

・赤松真人(阪神→広島)
※新井貴浩の人的補償
通算868試合出場、打率.249、21本塁打、144打点、136盗塁

 広島時代の印象が強いが、入団時は阪神だった。3年間で計36試合出場と一軍定着できなかったが、2008年に人的補償で移籍すると移籍初年度から125試合に出場。俊足を生かした外野の広い守備範囲とパンチ力のある打撃でレギュラーをつかみ、同年から7年連続2ケタ盗塁をマークする。ベテランになっても自慢の脚力は衰えず、代走の切り札として高い盗塁成功率を誇った。16年オフに胃ガンが発覚。リハビリを経てグラウンドに戻ってきた姿が野球ファンの感動を呼んだ。

V3の原動力になった右腕



広島時代の一岡

・一岡竜司(巨人→広島)
※大竹寛の人的補償
通算289試合登板、17勝14敗7S84H、防御率2.77

 ドラフト3位で巨人に入団したが、2年目のオフに人的補償で広島へ。この移籍が野球人生の転機になる。14年からセットアッパーに定着し、広島投手陣を支えた。16〜18年に球団史上初のリーグ3連覇を達成したが、一岡の貢献度は高かった。17、18年と2年連続59試合登板し、勝利の方程式として稼働する。近年は登板機会を減らしていたが、今季は4年ぶりの白星をマーク。プロ通算100ホールドポイントに到達した。新井貴浩新監督の下で復活なるか。

写真=BBM