佐々木朗、宮城と同世代



日本代表相手に好投した井上。来季が楽しみな左腕だ

 今月6日に東京ドームで行われた侍ジャパンの強化試合。衝撃を与えたのは、対戦相手の巨人で先発登板した21歳左腕・井上温大だった。

 140キロ後半の直球とキレ味鋭いスライダーで、侍ジャパンの強力打線を翻弄する。3回を投げて1安打無失点。初回二死一塁で四番・村上宗隆(ヤクルト)を内角に食い込む146キロ直球で遊飛に仕留めると、2回も西川龍馬(広島)、佐藤輝明(阪神)から直球で空振り三振を奪う。無四球4奪三振の快投に、原辰徳監督も満足そうな表情を浮かべていた。

 佐々木朗希(ロッテ)、宮城大弥(オリックス)、奥川恭伸(ヤクルト)ら好投手と同世代。身長175センチと恵まれた体格ではないが、しなやかなフォームから最速150キロの快速球と縦、横のスライダーで三振奪取率が高い。前橋商高で3年春に県大会準々決勝・健大高崎高戦で5回を2安打7奪三振無失点の快投を繰り広げ、スカウト陣の評価を高めた。3年夏の決勝戦・前橋育英高戦では8回途中3失点の力投も報われず、零封負けで甲子園出場の夢は叶わなかったが、本格派左腕として将来を嘱望された。

2年目オフに育成契約に


 ドラフト4位で巨人に入団し、高卒2年目の昨年はイースタン・リーグで開幕投手を務めた。前途洋々に見えたが、1カ月後の5月に左ヒジ手術を受けて同年オフに育成契約に。同世代の投手が一軍の舞台で活躍している姿を見て、期する思いは強かっただろう。今年7月に支配下昇格すると、一軍へ。プロ初登板となった同月16日の広島戦(東京ドーム)で3回1安打無失点の好リリーフを見せ、首脳陣に強烈にアピールした。

 1カ月のファーム調整を経て8月に一軍再昇格。プロは簡単に抑えられる世界ではない。投げる度に失点を重ねたが、それでも登板の機会を与えられたのは、左腕の小気味良い投球に首脳陣が光るモノを感じたからだろう。9月23日の中日戦(バンテリン)で6回3失点と粘り、プロ初勝利をマーク。「なかなかうまくいかないことがいっぱいあったんですけど、トレーナーさんだったり、監督、コーチ、チームメートの皆さんが優しい言葉をかけてくれたのでここまでくることができました。(ウイニングボールは)家族にあげたいです」とお立ち台で笑顔を浮かべた。

先発左腕が不足の巨人


 スポーツ紙記者は「左ヒジの手術で育成契約を結んだ時は大きな試練だったと思いますが、リハビリをきっちりこなしてはい上がってきた。1位指名で同期入団の堀田賢慎と共に左右のエースになってほしい投手です。チェンジアップに磨きをかければ、直球、スライダーがさらに生きる。来季は開幕から先発ローテーションに入れば、2ケタ勝利を狙えると思います」

 巨人は先発の左腕が不足している。高橋優貴は昨季チームトップの11勝をマークしたが、今季は1勝のみの大誤算。9月に左ヒジクリーニング手術を受け、今オフに育成契約を結んだ。今季は先発投手に46の白星がついたが、日本人左腕は高橋と井上の計2勝のみ。田口麗斗(現ヤクルト)は巨人在籍時の高卒3年目に自身初の2ケタ勝利をマークしている。井上も来季は大ブレークの可能性を十分に秘めている。佐々木朗、宮城ら球界を代表する投手となった同世代にも負けられない。V奪回を狙う巨人の救世主になれるか。

写真=BBM