侍ジャパン相手にピリッとせず



今季は27試合の登板に終わった畠

 侍ジャパンが巨人と対戦した今月6日の強化試合。3年目左腕・井上温大が侍ジャパンの強力打線を3回4奪三振無失点に抑える好投でアピールしたのとは対照的に、救援した鍬原拓也は2本のソロを浴びて1回2失点、タイブレーク練習で畠世周が3本の集中打に自身の暴投も絡んで4失点と、一軍で実績のある投手たちはピリッとしなかった。

 スポーツ紙の報道によると、原辰徳監督は「実績を残しているピッチャーたちは、読売ランドでなにを練習しているのかなと、コーチは何を指導しているのかなと。あえて名前は出しませんけど、そういうふうに感じました」と手厳しかったという。具体的に名前は出さなかったが、鍬原、畠に言及しているのは明らかだった。この試合を見ていた他球団のスコアラーも首をかしげる。

「畠は球が速いし、変化球のキレも鋭い。本来なら投手陣の中心になっていなければいけないのに、能力の半分も出し切れていない。伸び悩みがメンタル面、技術面のどちらに起因しているのか分かりませんが、もったいないですよね」

 身長186センチの長身でしなやか投球フォームから投げ下ろす直球は球威十分。プロ2年目の2018年に三軍で自己最速の156キロを計測している。変化球も多彩で、入団時は菅野智之からエースの座を継承する有力候補と目されていた。

 ドラフト後に右ヒジ手術を行った影響で、ルーキーイヤーの17年は三軍スタートだったが、7月に一軍デビューを飾ると先発ローテーションに定着。13試合登板で、6勝4敗、防御率も2.99と合格点をつけられる結果を残す。現役時代に巨人のエースとして活躍した野球評論家の堀内恒夫氏は、週刊ベースボールのコラムで、「(2年目の)今季さらに期待がふくらむ畠世周だ。昨年、シーズン途中から一軍に上がると、あれよ、あれよという間に6勝した。勢いのあるストレートに加え、スライダー、落ちる球などの変化球も豊富だ。今季、さらに成長が見込めるかもしれない」と期待を込めていた。

春先から続いた不安定な投球


 だが、プロ6年間の野球人生で、新人年の6勝が自己最多の成績となっている。2年目の18年は腰痛で長期離脱して9試合登板、3年目の19年も右ヒジの遊離軟骨除去手術を受けて5試合登板のみ。度重なる故障がネックとなり、一軍に定着できない。先発から救援に配置転換された昨年は自己最多の52試合登板し、今季はさらなる飛躍が期待されたが、春先から不安定な投球が続いた。

 4月30日の阪神戦(東京ドーム)で3点差を追いかける7回二死満塁から救援登板も、大山悠輔に押し出し四球、糸井嘉男に2点適時打、8回に山本泰寛に2ランを被弾と打ち込まれ、5月1日に登録抹消。15日に一軍昇格したが、29日の日本ハム戦(札幌ドーム)で3連続適時打を浴びるなど相手打線の勢いを止められず、翌30日に再び登録抹消に。ファーム暮らしは3カ月以上に及んだ。シーズン終盤は安定感を取り戻し、27試合登板で3勝0敗1セーブ5ホールド、防御率3.14。数字だけを見ると決して悪くはないが、首脳陣が畠に求める水準は高い。セットアッパーとして期待していたが、一軍での稼働率が低く納得できる内容ではない。

 来年は29歳のシーズンを迎える。期待の若手と言われた時期は過ぎた。先発、救援とコマがそろっているとは言えない状況で、畠は結果を出してもらわなければ困る投手だ。潜在能力の高さは誰もが認めるだけに、その素質を開花できるか。

写真=BBM