セ新人一番乗りの本塁打



ドラフト7位ルーキーの福永が中日打線で欠かせない存在となっている

 最下位からの巻き返しを狙う中日。岡林勇希、石川昂弥、現役ドラフトでDeNAから加入した細川成也ら若い選手たちがスタメンで躍動する中、連日の活躍で存在感が増している新戦力がいる。ドラフト7位で入団した26歳のオールドルーキー・福永裕基だ。

 今季24試合出場で打率.329、1本塁打、7打点をマーク。ゴールデンウィークに本拠地・バンテリンドームで同一カード3連勝を飾った巨人戦の活躍は圧巻だった。5日は8回一死一塁の好機で、左腕・代木大和の内角直球をすくいあげて左翼スタンドへプロ初アーチ。セ・リーグの新人一番乗りとなる本塁打で6点差に突き放し、勝負を決めた。

 翌6日は同点の8回二死二塁で、サイド右腕・三上朋也の直球を左前にはじき返す決勝適時打。お立ち台で大歓声を浴び、「スライダーがいいピッチャーだったので、それも意識しながら、ポイントを近くに寄せて自分のできるバッティングをしようと思っていきました。外野(の守備位置)が浅かったので厳しいかなと思っていたんですけど、(二塁走者が)高松(高松渡)だったのでかえってくれると信じていました」と穏やかな笑みを浮かべた。

長野に似ている打撃スタイル


 スポーツ紙記者は、福永の活躍を高く評価する。

「福永がいなかったらと思うとゾッとします。広角に安打を放ち、長打も打てる。打撃スタイルが長野久義(巨人)に似ていますよね。オープン戦、シーズン序盤はボール球になる変化球に手が出ていたが、打席を重ねてきっちり見逃せるようになって打率が上がってきた。調子の浮き沈みはあると思いますが、大きく打撃を崩すことはないでしょう。新人王の有力候補だと思います」

 中日は二塁のレギュラーを守っていた阿部寿樹が昨オフ、涌井秀章との交換トレードで楽天に移籍。本命不在の二塁で、春季キャンプから熾烈な競争が繰り広げられていた。ドラフト6位・田中幹也がオープン戦で打率.333と打撃で結果を出し、自慢の守備でも軽快な動きを見せていたが、3月19日の楽天戦(バンテリン)で5回にけん制球で帰塁した際に右肩を痛めて負傷交代。29日に佐賀県内の病院で「右肩鏡視下バンカート修復術」を受け、長期離脱の事態となった。ドラフト2位の村松開人はシュアな打撃に定評があったが、昨年2月に手術した右膝の状態が思わしくないために3月上旬からリハビリ組に。誤算が相次ぐ中、首脳陣が開幕から二塁でスタメンに抜擢したのが福永だった。

執念を感じるプレー


 天理高、専修大、日本新薬と主力として活躍してきたが、プロの舞台は遠かった。日本新薬では2度の指名漏れを経験。昨年10月に支配下選手の中で最後となるドラフト7位で中日からの指名を受けたときは、26歳だった。「ドラフト最終指名もプロの世界に入ったら関係ないと思うので、26歳という年齢で指名していただいて、即戦力で1年目からどんどん積極的に思い切ってやっていこうと思っています」と入団会見で決意を表明。立浪和義監督も「遅咲きでたくさん活躍した選手もいますし、今回バッティングコーチに就任した和田(和田一浩一軍打撃)コーチも非常に遅咲きで、2000本以上打った選手ですから、そういった選手を目指して頑張ってもらいたいなと思います」と期待を込めていた。

 福永のプレーには執念を感じる。プロデビュー戦となった3月31日の巨人戦(東京ドーム)。6回にタイラー・ビーディから三塁線上へ転がる打球を打つと、一塁に全力疾走。巨人の守備陣はファウルになると見送ったが三塁線上で打球が止まり、幸運な形でプロ初安打をマークした。体の強さも持ち味だ。4月26日の広島戦(マツダ広島)で5回の守備の際に右翼・岡林勇希と交錯。左太腿を打撲したが、1週間後の阪神戦(甲子園)で復帰。安打を量産している。

 プロは年齢、指名順位は関係ない。実力至上主義の世界で、サクセスストーリを切り拓く。

写真=BBM