シーズンが始まって30試合以上経過した。各球団、山あり谷ありのペナントレースを過ごしているが、果たして今季のセ・リーグ開幕投手は順調に投げ続けているのか。チームの中心となるべき投手の現在地は、果たして――。
※成績は5月15日現在

粘りの投球に原点回帰



阪神・青柳晃洋

阪神・青柳晃洋

【2023年成績】
6試合 2勝3敗 33.1投球回 勝率.400 奪三振26 防御率4.59

 昨季は4敗のみ。だが今季はすでに3敗を喫している。それだけでも今季の青柳晃洋のピッチング内容の悪さが分かる。2年連続で2つ以上のタイトルを獲得。誰もがエースとして認める存在になった。だが開幕戦で勝利して以降、4試合連続で勝ち星に恵まれず3敗。3イニング持たずに降板という試合もあった。各チーム各打者にボールを見極められ、厳しいコースに投げていくうちにコントロールも微妙な誤差が出た。5月12日のDeNA戦(甲子園)では岡田彰布監督に2回以降「もっとリズムよく」と指摘され改善し、今季2勝目を挙げた。まだ本調子でないが、この勝利を原点回帰として復調してみせる。

新エースとしての自覚



中日・小笠原慎之介

中日・小笠原慎之介

【2023年成績】
6試合 3勝1敗 40投球回 勝率.750 奪三振39 防御率2.25

 5年ぶり2度目の開幕投手を務め、145球の熱投を見せたのは記憶に新しい。その開幕戦を含め、6試合の登板はすべて金曜日とカードの頭。中6日の先発ローテーションをしっかり守り抜いて、3勝はチームトップ。「今年はやってもらわないと困る」と開幕投手に指名した立浪和義監督の期待に十分に応えているだろう。5月5日の巨人戦(バンテリン)は5回途中3失点で無念の降板も、残り5試合はクオリティースタートに成功。大野雄大が開幕早々に左肘の手術で戦線離脱する中、新エースとしての自覚も十分。今季は3年連続の規定投球回到達と2年連続の2ケタ勝利がノルマだ。

再び投手陣の中心として



広島・大瀬良大地

広島・大瀬良大地

【2023年成績】
5試合 2勝2敗 28投球回 勝率.500 奪三振31 防御率2.57

 開幕から約1カ月半の間に2度の離脱。1度目はコンディション面に配慮しての“積極的休養”だったが、2度目は登板時に左太もも裏を痛めたことが原因とあって、右腕は悔しさをにじませた。復帰戦となった5月12日の巨人戦(東京ドーム)、口にしたのは変わらない思いだ。「やるべきことをやって、いい結果を残せるように。チームに貢献していけるように」。勝ち負けはつかなかったものの今季最長の7回を投げ、ケガした左脚を含めて状態は問題なし。リスタートを切った右腕に、新井貴浩監督も「彼は中心だから」と揺るぎない信頼を寄せている。

好調から急転直下の5月



ヤクルト・小川泰弘

ヤクルト・小川泰弘

【2023年成績】
7試合 2勝4敗 41投球回 勝率.333 奪三振30 防御率4.17

 7回無失点投球で実に9年ぶりの開幕戦白星を挙げると、以降も持ち味である緩急自在の投球で打者を翻弄。4月を終えて5戦、防御率1.80と抜群の安定感を披露していた。しかし、5月6日のDeNA戦(神宮)で4回8失点と打ち込まれると、14日の中日戦(神宮)は6回まで1失点も7回に満塁弾を浴びて降板。打線の援護もあって2勝目を手にしたが、規定投球回到達者ではリーグワーストの防御率4.17にまで悪化した。リーグ3連覇を目指してスタートしたチームは、投打がかみ合わず苦しい戦いが続く。ここから巻き返せるかはエースの復調にかかっている。

黒星発進も好投続く



DeNA・石田健大

DeNA・石田健大

【2023年成績】
5試合 2勝1敗 29投球回 勝率.667 奪三振24 防御率1.55

 過去2回務めた大役はいずれも敗戦。3度目の正直と意気込んで臨んだ京セラドームでの阪神戦だったが、結果は4回4失点でまたも敗戦投手に。しかし、その後は登板間隔を空けながら先発し、その4試合すべてでチームが勝利を挙げている。高さ、コースを間違えない、長打を許さない投球が光り、被本塁打はいまだゼロ。開幕戦以外は自責点2以下に抑えている。特に、4月18日の巨人戦(長崎)では、8回4安打無四死球無失点と好投。キャリア初の完投、完封まであと1イニングまで迫ったが無理をせず守護神・山崎康晃にあとを託し勝利投手となった。中盤戦以降も先発の中核を担っていくことになる。

早くも先発ローテ失格!?



巨人・ビーディ

巨人・タイラー・ビーディ

【2023年成績】
5試合 0勝4敗 24.2投球回 勝率.000 奪三振21 防御率5.47

 球団の新外国人としては初の開幕投手への大抜てき。しかし、ここまで開幕投手としての責任を果たすどころか先発ローテとしても失格のらく印を押され、二軍での調整が続く。白星なしで迎えた5度目の先発、4月30日の広島戦(東京ドーム)では来日後最短の4回途中5失点。原辰徳監督も「少し時間を与えるべき」と二軍降格となったが、5月9日のイースタン・楽天戦(ジャイアンツ)では初回に3四球4失点と乱れた。フォームの修正やプレートを踏む位置を変えるなど試行錯誤が続いているものの、掛かる時間は「少し」では済まないかもしれない。

写真=BBM