攻守走三拍子そろうスラッガー



早実の主将・宇野は5点を追う8回表にソロ本塁打を放った[写真=桜井ひとし]

[秋季東京大会準決勝]
11月4日(神宮)
関東一高5-1早実

 一矢を報いる主将の一打だった。

「5点差(0対5)の場面だったので、自分一人の力ではどうにもならない。センター返しを意識していきました」

 関東一高との準決勝は、8回表二死走者なし。早実の一番・三塁の主将・宇野真仁朗(2年)は、関東一高の本格派右腕・坂井遼(2年)が投じたフルカウントから6球目の真っすぐを、左翼席へ運んだ。追い上げのソロ本塁打となったが、チームは1対5で敗退した。東京大会は来春のセンバツを選出する上での資料となっているが、早実の出場は絶望的となった。

「この秋の大会で優勝することを目標にしてきましたので、非常に悔しいですが、大会を通じて成長できた部分がある。夏に向けて、頑張っていきたい。甲子園に出場するため、この学校に来た。チームスローガンは『頂戦』。頂点に向けて戦う中で、常日ごろの練習から一瞬一瞬にすべてをかけていきたいと思う」

 177センチ80キロ、右投げ右打ちの内野手。この日の準決勝での一発で、高校通算48号となった。神宮球場で放った初アーチである。

「詰まっていたので、レフトフライかな? と思ったんですが……。冬場から体づくりをやってきて、昨年までなら入っていなかったと思うので、その成果が出たと思います」

 1年春の東京大会から二塁手のレギュラー。入学式直後のタイミングで定位置を奪取するのは、近年では清宮幸太郎(日本ハム)のケースがあるが、名門・早実では珍しい。1年夏は遊撃、2年夏は二塁を守り、主将となった2年秋からは三塁を守っている。打球の反応が良く、スローイングも安定。50メートル走6秒0と、攻守走三拍子がそろっている。

過去に日本代表も経験


 野球一家に育った。父・誠一さんは桐蔭学園高、獨協大で内野手としてプレーし、卒業後は社会人野球のリクルート、ローソン、フェデックス、WIEN94で指導実績が豊富だ。現在は宇野が中学時代に在籍した市川シニアで監督を務めている。内野手だった長男・隼太朗さんは桐蔭学園高、外野手の次男・竜一朗さんは早実を経て早大3年生で在籍している。

 三男・宇野は小学6年時に侍ジャパンU-12代表でプレーし、チームは3位で、ベストナイン(外野手部門)を受賞した。日の出中時代に在籍した市川シニアではシニア日本代表と、エリート街道を歩んできた。

 好きな選手は「守れて、走れて、打てる山田哲人さん(ヤクルト)にあこがれています」と語る。将来の夢は「プロ野球選手」だ。

「プロになるためにこの高校に入ってきている。10カ月近くあるので、プロで活躍できるビジョンが見えてきたら、高校から行きたい」

 早実は早大の系属校であり、大学進学が既定路線だが、清宮、野村大樹(ソフトバンク)、歴史をさかのぼれば王貞治(ソフトバンク会長)、荒木大輔(元ヤクルトほか)のように高卒でプロ入りしたケースもある。宇野がどのような決断を下すのか、勝負の冬が始まる。

文=岡本朋祐