東京オリンピックまで1年を切った今、日本女子のトップリーグであるWリーグで戦う選手たちは、それぞれにいろんな思いを抱いてシーズンを戦っている。

 バスケットボールキングでは女子日本代表でも主力を担う富士通レッドウェーブの町田瑠唯にクローズアップし、1シーズンの戦いを追いながら、彼女の言葉を通して五輪直前となるシーズンでの取り組みや思いなどを伝えていく。

取材・文=田島早苗
写真=兼子慎一郎

◆「いい時も悪い時もチームで戦えるように意識しています」

――10月27日の試合でWリーグの前半戦が終了。富士通は6勝1敗ですが、ここまでの戦いを振り返ってください。
町田 昨シーズンよりも経験のある選手と若手選手が上手くかみ合っていると感じます。今シーズンから移籍でモニカ(オコエ桃仁花)、新人でマナ(田中真美子)が入ってインサイドの選手が多くなり、走れる選手も増えました。若い選手のレベルも上がったことで、底上げもできていると感じます。またチームとしてディフェンスで立て直せるようになりました。今までは競った試合を勝ち切ることができなかったのですが、今シーズンは逆にものにできています。そこがチームとって大きなプラス。ただ、求めているバスケットはもっとレベルが高いものなので、まだまだ成長できるとも思っています。

――開幕前は町田さん一人が日本代表活動でチーム(富士通)から離れていました。
町田 これまでずっと一緒にやってきた選手に関しては割とすぐ合わせることができました。昨シーズンあまり一緒に試合に出ていなかった選手に関しても、試合毎にどういうプレーが好きなのかなどは分かってきました。

――試合を見ていると今シーズンはハドルを組む回数が増えたように感じます。
町田 自然に増えているのかなと思います。私もハドルを組んで伝えたい事を伝えるようにはしています。昨シーズン、少しチームがバラバラになってしまったことが私自身の反省としてあるので、いい時も悪い時もチームで戦えるように意識しています。それで自然と組む回数が増えているのかもしれないですね。今は昨シーズンよりもチームで戦っている感覚はあります。

――ここまでの個人の出来はいかがですか?
町田 得点に関してはずっと言われてきていることなので、意識して今シーズンは上手く(点を取る)スイッチが入っていると思います。私自身の中でも攻める意識はありますが、私はみんなを生かすことも好きなので、できるだけ味方を生かせるようなプレーもしたいです。

――当面の個人の課題は?
町田 シュートですね。この前も(10月26、27日の前半戦最後の試合)、シャンソン(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)が私に対して引いて守っていたので、シュートを打つチャンスはあったのですが、その時に迷ってしまったところがあって。今後は迷わずシュートを打つためにも、確率を上げていきたいです。そこでシュートを決めることができたらディフェンスも変わるし、周りも生かしやすくなると思うので。

スピードあふれるプレーで魅了する町田[写真]=兼子慎一郎

◆目指すガード像は「大事な時に託されるガード」

――さて、日本代表の話をしたいと思います。9月には「FIBA 女子アジアカップ 2019」で4連覇を達成しました。自身にとってどのような大会になりましたか。
町田 全試合スタートで出してもらいましたし、4連覇できたこともうれしかったのですが、個人としては課題が残りました。予選ラウンドでは自分のやりたいバスケットができましたが、セミファイナルとファイナルでは試合のスタートからリズムを作れなかった。菜子(本橋/東京羽田ヴィッキーズ)がフィットしてくれたことで助かりましたが、もう少し自分でも攻められるようなプレーをできたら菜子の負担も軽くできたかなと思います。アジアカップは5試合でしたが、今後試合数が多い大会になると負担も大きくなるので、菜子とはお互いに違うプレースタイルで、相手を苦しめることができればいいなと思います。

 点の取れる選手がいる以上、私はその選手たちを上手く生かすことも役割だと思うので、自分が攻めて点を取ることも大事ですが、点を取れる選手がしっかり取れるように。得点のバランスは考えながらやりたいです。

 今、自分が評価されているところの精度を上げること。それにプラスしてシュート力も付けていきたいです。

――ポイントガードとして参考にしているガードはいるのですか?
町田 アメリカ代表のスー・バード(WNBA/シアトル・ストーム)はずっと好きな選手です。NBAだと高校時代はラジョン・ロンド(ロサンゼルス・レイカーズ)で、その前はジェイソン・キッド(元ダラス・マーベリックスほか)やスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)。やっぱりパスが上手な選手に惹かれていましたね。中学の時は映像を見た後に遊びで真似をしたこともありました。

――目指すガード像は?
町田 自分がなりたいガードとしては、みんなから頼られるガード。「町田に預けていたら安心」「町田が出ていたら何とかなるだろう、何とかしてくれるだろう」と思ってもらえるようなガードになりたいです。大事な時に託されるガードですね。

――先ほど出たジェイソン・キッドというと『トリプルダブル』。個人的に試合の出来に関してバロメーターになる数字はありますか?
町田 自分自身、「調子よかった」と思うことがあまりなくて。自分の性格なのか分からないですけど、自分に対してのいい印象というのは覚えていないんです。試合が終わってもミスしたこととか、この時こうすればよかったなということの方が強く残りますね。だから30点ぐらい取った試合でも試合中にシュートタッチが良いなとも感じないですね。

――ボックススコアはどこを見ますか?
町田 ミスのところを見ちゃいますね。ターンオーバーが多いとか、リバウンドが少ないなとか。得点やアシストも見ますが、それは比率のためで、得点が多くてアシストが少なかったなといったことです。シュートも打っている本数が少ないなとか、打っているけど入ってないなとか。点を取っていても3ポイントシュートの確率が6分の1だったら、確率が悪い方を気にするし。ちょっとマイナス思考なのかな(笑)

――自分が良かったとは思わない。
町田 思わないです。

――そこが一流なのかもしれないですね。自分を褒めないという。
町田 褒めないというかは、褒めるところがないですから。

――3冠を獲得した札幌山の手高校時代は本川紗奈生(シャンソン化粧品)、高田汐織(元富士通/昨シーズン引退)といった同じような考えの同級生がそろっていたんですね。
町田 それはあるかもしれないです。結局、あの時も試合には勝ってはいましたが、反省が多かったですから。(勝った後も)次のことばかり考えていました。そういう環境が良かったんですね、きっと。

――終わったことに満足するのではなく、足りていないことをどうするかと。
町田 そうですね。(コーチの)上島正光さんがそういう考えだったこともあるかもしれないです。なかなか褒めてくれないコーチでしたから(笑)

シーズン前半戦の振り返りや今後への思いなどを語った[写真]=兼子慎一郎

――企画のテーマでもある2020年は意識しますか?
町田 意識はしています。

――そのためにも今シーズンは大事なシーズンです。
町田 (オリンピックに向けた)メンバーも決まっていないし、出られるかも分からない。だからこそ、Wリーグで結果を残さないといけないと思っています。でも、結果を残すことはもちろん、メンバーに選ばれた際にはちゃんと活躍できるように。そのためには今より成長しないといけないと感じているので、もっともっとレベルアップしていきたいです。

――その先に東京オリンピックがあると。
町田 そうです。そこまでどれだけ上がっていけるかが勝負かなと思います。