「トランジションの速いバスケットを出だしからやっていこうと話をしていたのですが、あまりできなくて、少し重い展開になってしまいました」

「FIBA女子オリンピック プレ・クオリファイイング・トーナメント2019(アジア・オセアニア)」の第2戦、日本は最終的にはチャイニーズ・タイペイに83−57と27点差を付けて勝利したのだが、僅か13得点に留まった第1クォーターを司令塔の本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)はこう振り返った。

 重い展開はオフェンスを組み立てるガードとしては難しい場面ともいえる。その時間帯を「我慢するしかないというか、あそこで慌てても仕方がないので、我慢して流れが来るまでやるべきことをやらないといけないと思っていました。それはみんなも分かっていたので、『我慢、我慢』と、コートの中でも声を掛け合っていました」と本橋は言う。

 本橋といえば、「FIBA 女子アジアカップ 2019」で日本の4連覇に貢献し、中国との決勝では24得点で大会MVPに輝いたことも記憶に新しいところ。それでも飛躍した女子アジアカップでの戦いを踏まえ、本橋は“パス”を自身の課題に挙げていた。

 今大会、本橋にはそのパスを意識したような動きが見られ、本人も「クイックシュートを打てる人も多いので、空いている人がいる時は積極的にパスは狙っていこうと思っています」と言う。

 だが一方で、チャイニーズ・タイペイ戦後は「『シュートをもっと狙えた』とトム・ホーバスヘッドコーチに言われたので、パスばかりにならないように。自分の役割、空いたらシュートを狙うということはオーストラリア戦に向けて見直さないといけないなと思います」とも語った。

 得点力抜群の本橋。それだけに自身の得点と司令塔としてのパスの配給とのバランスを取るのは難しいのかもしれない。だが、「自分だけがボールを持たないように、パスを出しながらやっていかないといけないと思っています。でも、私が一番求められているのは積極的にチャンスを見逃さないで行くこと。そこは第一にやっていきたいです」と本橋。

「それがなかったら自分が出ている意味がない。パスを出せるガードはたくさんいるので、得点に関してはブレずにやっていかないといけないと思います」とも加えた。

本橋はドライブや外角シュートなど得点力の高いガード[写真]=バスケットボールキング

 そんな本橋にとって「間近で見れるのはいい経験」というのが吉田亜沙美(JX-ENEOSサンフラワーズ)の存在。「リバウンド取った時などにボールが来る前から前を見ているし、常にプッシュしようとしているところがすごいと思います」と言う。

 アジアカップから約1か月半が過ぎ、あらゆる面でレベルアップのために研鑽を磨く司令塔の本橋。最終戦のオーストラリア戦に向けて「アウトサイドとインサイドというのはうまくやっていくことが日本のスタイルにつながると思うので、そこはバランス良く、一人ひとりが自分の役割を徹底してやれればいいなと思います」と気持ちを新たにしていた。

文・写真=田島早苗