高校3年間を通じて同じメンバーで戦うというチームはほとんどない。1年生の時から主力でプレーしていたとしても、学年を重ねるごとに役割やプレースタイルが変わるのは、ごく自然なことだ。その度に選手たちは考え、悩み、思い描く自分に1日でも早く近づくために、日々、体育館で汗を流す。

 八雲学園高校(東京都)の粟谷真帆(2年)もその1人だ。

「去年までは先輩たちについていく感じでした。だけど今年は全体をまとめたり、声を出して引っ張らなきゃいけないので変わらないといけないです」

 181センチの長身を活かして1年次から八雲学園のセンターを担ってきた粟谷は、最上級生となる新チームでキャプテンに就任した。だが、本人も認めるように昨年まではリバウンド、スクリナーとしての献身的な働きや、上級生たちのパスに合わせるプレーがメイン。「真面目すぎる」(高木優子コーチ)性格もあり、声を出してチームを盛り上げるのも決して得意なタイプではない。

「プレー面でも去年は吉田(眞子/3年)さんに合わせる動きとか、リバウンドが役割だったんですけど、今年は吉田さんが取っていた分の得点をカバーしなきゃいけない。もっと点を取れるように積極的にプレーしたいです」

 そう意気込む粟谷が1年生の時には、奥山理々嘉(現JX-ENEOSサンフラワーズ)という世代屈指のポイントゲッターが、2年次には多彩な攻撃から得点を奪える吉田が八雲学園のエース兼キャプテンを担った。そして、そのバトンは今年、粟谷が受け継ぐことになる。

「エース的存在にならなければならない」と高木コーチが言えば、昨年のエース兼キャプテン・吉田も「一番点数をとって活躍しなきゃいけない選手だと思います。接戦の場面では真帆が点数を決めて、チームのみんなから頼られる存在になってほしいです」とエールを送る。

 もっとも、その期待に応えるように、粟谷は2月8日、9日の「令和元年度 第30回関東高等学校バスケットボール新人大会」では、戦った3試合すべてでチームトップとなる得点をマーク。しかし、ゴール下のシュートを外したあとに不用意な反則を犯すなど精彩を欠いた場面もあり、その度に高木コーチからこっぴどく叱られた。

 昭和学院高校(千葉県)に9点差で敗れ、ベスト4で同大会を終えた後には、「ディフェンスの当たりが強くなった時でも自分からもっと攻められるように1対1の技術を上げていきたい。あと、リバウンドもしっかり取れるようにならないといけないです」と今後への課題を口にした粟谷。

 チームの絶対的支柱になれるかどうかは、これからが本番。それでも、引退後も粟谷の姿を見守り続けている吉田の言葉を聞くと、これからさらに成長した姿を見せてくれるに違いないと確信が持てた。

「真帆はすごい努力家で、みんなには言わないですけど『自分が頑張らなきゃ』と思っていると思います。それは練習を見ててもすごく感じます」

 チーム一の経験値を持つ新キャプテンは、チーム一の努力家でもある。

文=小沼克年