8月1日に行われる平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)の準決勝に駒を進めたのは福岡第一高校(福岡県)、明成高校(宮城県)、帝京長岡高校(新潟県)、福岡大学附属大濠高校(福岡県)。福大大濠vs中部大学第一高校(愛知県)は準々決勝1番の好カードとなることが予想されたが、星野京介と坂本星芽という中部大第一が誇る2大ポイントゲッターが福大大濠のディフェンスを前に沈黙し、75−65と思わぬ大差がついた。

 むしろ、大会前は多くの人にとってノーマークだったにも関わらず、福岡第一、明成という名門校を相手に「あわや」の好ゲームを展開した県立広島皆実高校(広島県)と飛龍高校(静岡県)。7月31日の総括でも触れた2チームの活躍は素晴らしいものだった。両チームには共通点がある。1つは今大会、現コーチが就任以来初のベスト8に進出したこと。そして、アプローチは違えど「小さいチームが大きいチームに勝つ方法は何か」を真剣に追求していることだ。

 広島皆実は、191センチの深渡瀬海と189センチの三谷桂司朗という長身選手を、あえてゴールから離れた位置に立たせる戦術を採った。相手のビッグマンはつられて外に出るため、ゴール付近がポッカリと空く。そこに選手たちがどんどん飛びこんで得点チャンスを作りだすという作戦だ。「1対1では戦えないかもしれないけど、2人や3人なら崩すことができる」と、キャプテンの原未来斗は自分たちのバスケットに手応えを感じている。

 飛龍はより基礎的なことに重点を置いてきた。1つはフィジカルトレーニング。「『コンタクトする』より『コンタクトを起こす』。同時にぶつかったら負けるけど、こちらから先に行動すれば優位に立てる。トレーニングを週に3、4回は入れていますし、ぶつかり方とタイミングも日頃からすごく練習しています」と原田裕作コーチは説明する。もう1つは「総ポイントガード化」。要は5人全員がポイントガードのようにボールをさばき、ドライブできることを目指し、ボールハンドリングやドリブルの基礎練習(ファンダメンタルトレーニング)にも多くの時間を割いてきた。中学時代にファンダメンタルトレーニングの経験が一切なかったというフォワードの松下裕汰も、「今はガードもできます」と宣言できるほどにテクニックが向上している。

 身長の高い選手の多くが名門校に集中し、全国各地でアフリカ系留学生が猛威を振るう高校男子バスケ界。そんな中で独自の戦い方を貫き、痛快なバスケットを見せてくれた両チームに心からの拍手を送りたい。

文=青木美帆