ケビン・デュラントとカイリー・アービングというリーグ屈指の二大巨頭を手にしたブルックリン・ネッツだが、今季は両者がケガのため、その真価は未だベールに包まれたままでいる。

 さらに、ネッツは現役時代に2度のMVPに輝いた殿堂入りの名手、スティーブ・ナッシュをヘッドコーチに招聘。これまで指導者の立場からチームを率いた経歴はないが、現役時代に証明済みの類稀なリーダーシップと戦術理解度、そして試合の流れを見極める洞察力は、指揮官としての成功を期待させる。

 ナッシュHCは就任にともない、デュラントとアービングの指導を「楽しみにしている」と新たなケミストリーの構築に大きな期待を寄せた。

 では、球団の二枚看板は、ナッシュのHC就任について、どう感じているのだろうか。KDは先日、自身が新たに立ち上げたPodcastチャンネル『The ETCs』のゲストに、同僚となった稀代のハンドラーを迎えた。そこで、2人はナッシュ新監督やチームの未来などについて意見を交わしている。

 本題に入ると、アービングはまず、こう切り出した。

「正直なところ、僕たちには“ヘッド”コーチはいないようなものだと思う。KDもヘッドコーチになれるし、僕もヘッドコーチになれる」

 一見、ナッシュ不要論を唱えているかのように聞こえるが、後のコメントを見ればわかるとおり、これはアービングがナッシュHC率いる新体制に大きな希望を抱いていることの現れである。デュラントはこれに対して、「(アシスタントコーチの)ジャック・ボーンもヘッドコーチになれる。つまりは、共同作業ということだよな」とレスポンス。すなわち、彼らはヘッドコーチが絶対的なボスという既存の体制ではなく、コーチ・選手の垣根なく、誰もがリーダーシップを発揮できる環境になると予想しているのだ。

 また、デュラントは、ナッシュの存在はチームメートにとっても大きな財産となると予言している。

「俺は、スティーブがここにいて、毎日フロアで共に過ごすことは、トーリアン(・プリンス)、キャリス(・ルバート)、スペンサー(・ディンウィディー)といった俺たちのスコアラーに良い影響しかないと思っている。俺たちが成長するためには、スティーブと彼らの関係性が鍵になるはずだ。俺たちとスティーブの関係性より、チームメイトとスティーブの関係性のほうがより重要になってくる」

 一方、NBAファンにとって、これまで問題児扱いされてきたアービングとナッシュの信頼関係は、非常に大きな着目点となっていることだろう。だが、ナッシュへ対する発言を聞く限り、アービングもポイントガードの大先輩であるレジェンドには一目を置いているようだ。

「僕たちはいつも、ナッシュがどれだけ偉大な選手かを見て、聞いてきたけれど、彼を個人的に知ると、彼が僕たちと共存できる理由がわかる。誰か他の人間が彼らのコーチング哲学に介入する必要なく、僕たちが今までしてきた全てを変えてくれるはずさ」

 初年度から全てが順風満帆に進むほど、NBAは甘い世界ではない。大幅なチーム改革は、時に諸刃の剣ともなる。しかし、デュラントとアービングの会話を聞くと、ナッシュ率いるブルックリン・ネッツへの期待は膨らむ一方。

 2020−21シーズン、ヒール役の2人がこれまで繰り広げられてきた優勝争いに割って入る。


文=Meiji