1月23日に再開するB1リーグ。前半戦のサプライズの一つに、強豪ぞろいの東地区で4位につける、富山グラウジーズの健闘が挙げられる。リーグ開幕前から注目されたのは、富山在籍5年目で不動のエース・宇都直輝と、新加入のプレーメーカー、ジュリアン・マブンガがコート上で共存できるかだった。前半戦を4連勝で締めくくった富山の戦いぶりは、この2選手に橋本晃佑を加え、新たなラインアップを模索する中でもたらされた。

◆橋本晃佑の起用法をめぐり、浜口炎HCが出した一つの答え

 2020年12月19・20日、富山は千葉ジェッツに連敗を喫した。2戦目はダブルオーバータイムの末に129−130と競り負けている。今シーズン5度目となるトリプルダブル達成のマブンガに匹敵するインパクトを残したのが、第4クォーターとオーバータイムで3ポイントシュートを8連続で成功させ、キャリアハイの24点を挙げた橋本だった。

 橋本は今シーズン、宇都宮ブレックスから富山に移籍。開幕から4試合は富山の外国籍選手がマブンガしかおらず、スターターとして30分近い出場時間を得ていた。外国籍選手が合流し始め、橋本のコンディション不良もあいまって3試合を欠場。徐々に復調を見せるなかで、千葉戦の大ブレイクとなった。

 富山の選手交代はまず外国籍選手どうしを、次に松脇圭志や水戸健史ら守備の貢献度が高い選手を入れ替える傾向がある。ベンチに座る橋本の登場は、遅い場合4つ目のローテーションとなり、第1Qは2分程度しか出られない。富山の浜口炎ヘッドコーチはたびたび「晃佑の起用法を悩んでいる」、「晃佑を生かすのは、自分の責任」と口にしていた。

 橋本と交代するのは宇都であるケースが多く、PGはマブンガにスイッチする。ビッグラインアップで臨むことになるが、浜口HCのマブンガに対する期待は守備面でも大きい。12月13日の川崎ブレイブサンダース戦では、川崎の辻直人の3ポイントシュートが好調だった。そこで橋本を投入しビッグマン対策を施した上で、マブンガを辻にマークさせ、富山の勝利を呼び込んでいる。

 千葉との2戦目、富山は第4Q途中からマブンガ、橋本、水戸、そして前田悟がコートに立ち続けた。12月26日の広島ドラゴンフライズ戦を制した富山は、続く2戦目と年明けの島根スサノオマジック2連戦でこの4選手をスターター起用。宇都が富山在籍中、負傷明けなどの理由なしにベンチスタートとなったのは、Bリーグ元年の16−17シーズン序盤にまでさかのぼる。当時は宇都が「4番(パワーフォワード)で出されたこともあった」と苦々しく振り返るように、起用方針が不安定な時期だった。

 今シーズンの宇都は前半戦で321得点(平均11.9点)を記録し、帰化選手を除く日本人選手ではリーグ4位に位置する。しかし、この1カ月ほどは得点、アシストともに伸び悩み、ターンオーバーが3以上の試合が大半だった。特にマブンガへのパスを狙われてのカットが多かったと感じる。さらに、調子のバロメーターともいえる被ファウル数が1以下の試合が目立つ。あらゆる面での思い切りの良さが、宇都からは失われていた。「周りをうまく使おうという気持ちがあり、自分のプレーができていなかった」と宇都は分析する。

 橋本はここ3試合スターターだったが、出場時間はさほど増えていない。ただし3ポイントシュートの成功率は高く、千葉戦で得た良い感触をキープしているようだ。むしろ宇都への好影響のほうが大きく、シックスマンとして出場した3試合で10得点、18得点、21得点と本領発揮して見せた。「自分が出ている時、ベンチにはスタートの選手が控えており、安心感がある」と宇都。今後、宇都がスターターで出る試合もきっとある。浜口HC率いる富山は変幻自在のスタイルで、東地区の台風の目であり続けるはずだ。

文=横田直