ブレイク・グリフィン(デトロイト・ピストンズ)は今、移籍の渦中にいる。『ESPN』の報道によると、ピストンズの背番号23は球団との話し合いとの結果、去就が決定するまでチームを離れることを決断。球団でゼネラルマネージャーを務めるトロイ・ウィーバーは「関係者全員が前向きな結果を得られるように努力していく」とコメントしており、トレードのデッドラインに設定されている3月末までに、グリフィンの新天地を探す意向を示している。

 オクラホマ大学で永久欠番を持つグリフィンは、2009年のドラフト1位指名でロサンゼルス・クリッパーズに鳴り物入りで入団。初年度はプレシーズン期間中の怪我によりシーズンを全休したが、デビューシーズンとなった2010−11シーズンには満票でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。以降、オールスターに6度も選出されたグリフィンは、誰もが認めるリーグのスター選手としてコートを制圧してきた。

 かつてのグリフィンのシグネチャーといえば、ディフェンダーがリムを譲るほどの超豪快なダンクだった。デビューシーズンに、当時ニューヨーク・ニックスに所属していたティモフェイ・モズコフ(現ヒムキBC)の上から叩き込んだ一撃や、2012年にケンドリック・パーキンス(元オクラホマシティ・サンダーほか)にお見舞いしたポスタライジングは、今なお人々の記憶に深く焼き付いていることだろう。

 しかし、元ダンクコンテストチャンピオンのダンクの本数は2014−15シーズンを境に激減している。デビューからの4年間は毎年約170〜210本のダンクを放っていたのに対して、5年目は一気に84本、その翌年は36本と、年々「グリフィン=ダンク」のイメージは薄れていった。

 そして、『StatMuse』によると、グリフィンが最後にダンクしたのは2019年とのこと。同年のダンク総数は、たったの5本。そもそも出場試合数が18試合と少なかったことも要因に挙げられるが、今年ピストンズで出場した20試合では1本もダンクを放っていない。

 しかし、その理由には、グリフィンが派手なダンカーではなく、チームを助けるスコアラーとして、プレーのバリエーションを増やしたことが挙げられる。もちろん、大学時代から怪我と付き合ってきた選手だけに、故障のリスクを減らすという意図もあったはずだが、キャリアを歩むにあたり、バスケットボールのトレンド自体も大きく変化してきた。

 近年、グリフィンはスリーポイント、ミドルレンジからのバンクショット、そしてゴール下の巧みなフットワークなど、ストロングポイントであった脅威の身体能力をダンク以外の得点パターンへと応用。その変化の軌跡には、どこかヴィンス・カーター(元トロント・ラプターズほか)の面影を感じさせ、グリフィンは新たな技術を一級品まで磨き上げ、トッププレーヤーの地位を確保し続けてきた。

 きっと、NBAファンであれば誰しもがグリフィンが再びコートで躍動する姿を楽しみにしているはず。移籍には同選手の高額な年俸を考慮する必要があるが、再起の後押しとなる新天地を見つけられることを願いたい。

 文=Meiji