10月14日、15日にアリーナ立川立飛で行われたB1リーグ第3節。横浜ビー・コルセアーズと対戦したアルバルク東京は、初戦で79−58、2戦目で82−57と相手を寄せつけず、新アリーナの開幕節を連勝で飾った。

 この第3節で落ち着いたプレーを見せ、チームに安定感と勝利をもたらしたのが、今シーズンからA東京に加入したジャワッド・ウィリアムズだ。

 アメリカのオハイオ州出身で1983年生まれのウィリアムズは、206センチ102キロのパワーフォワード。あの名門ノースカロライナ大学出身で、4年次の2005年に全米大学選手権(NCAAトーナメント)優勝を経験している。生粋のバスケットボールファンには“あの”でこと足りるノースカロライナ大学だが、改めてその卒業生の顔ぶれを眺めてみると、その偉大さを改めて感じることができる。

 ノースカロライナ大OBとして最も有名なのは“神様”マイケル・ジョーダンだ。ジョーダンは1982年のNCAAチャンピオンシップで、後に伝説として語り継がれるクラッチシュートを沈め、全米にその名前を轟かせた。ジョーダン以外にも、マジック・ジョンソンとの名コンビとして知られるジェームズ・ウォージー(元ロサンゼルス・レイカーズ)や、“エアカナダ”の異名でも知られ、40歳の現在、なお現役として活躍を続けるビンス・カーター(サクラメント・キングス)も、この名門校のOB名簿に名を連ねている。

 屈指のバスケットボール名門校を卒業したウィリアムズは、NBADリーグ(現Gリーグ)、レラカムイ北海道(現レバンガ北海道)などに所属した後、2008年、サマーリーグを経てNBAのクリーブランド・キャバリアーズと契約を締結すると、2010年12月まで3シーズンにわたって在籍。7試合の先発を含む計90試合に出場し、1試合平均3.8得点1.5リバウンドの成績を残した。その後はフランスやトルコのリーグでプレーし、昨季はギリシャとイタリアのチームに所属した。

 横浜との試合で、ウィリアムズは14日に18得点5リバウンド3アシストを記録。15日も14得点4リバウンド2アシストの活躍を見せ、チームの連勝に貢献した。15日の試合後の会見で、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「ジャワッドはオフェンスでもディフェンスでも高いレベルでプレーをしてくれていた。オフェンスでは、良い読みをもっている。今のチームの組み立ては4番(パワーフォワード)からスタートする。判断力の高く、(バスケット)IQが高いジャワッドは貴重な戦力だ」と語った。

 ウィリアムズはスタッツの通り、マルチな活躍でチームを支えるが、そのプレーぶりには昨シーズンチームをけん引したディアンテ・ギャレットのような派手さはない。空いているスペースに顔を出し、ボールを捌くと、相手の嫌がるポジションへ移動し、味方をサポートする。やるべきことをやるべきタイミングでシンプルに行うことを徹底している。

 ウィリアムズは試合後に、ゾーンディフェンスの攻略について問われると「シンプルな話だ。ディフェンダーとの間に、とにかくアドバンテージを作ることを意識している。ディフェンスが離れればアウトサイドへ。ミスマッチが生まれれば、インサイドでアタックをする。常にどうすればアドバンテージを得ることができるのかを考えてプレーをすることが重要さ」と冷静に自身のプレーを解説。

 また、どのようにして高いバスケットIQを身に着けたのかとの質問を受け「13年間のキャリアを積んでいるからね(笑)」と笑顔を浮かべると、「ノースカロライナ大で基礎を叩きこまれ、(自分自身がバスケットIQが高い選手だと言われるようになったのも)キャリアの中で、素晴らしいコーチと巡り合うことができたお陰だと思っている」とこれまで師事した指導者へのリスペクトを口にした。

 派手なブロックショットや、難しい態勢からのクラッチシュートで魅せるタイプのプレーヤーではない。しかしながら、広いビジョンと優れた判断力で、その時、そのゲームに必要なことを選択することができる高い能力の持ち主だ。A東京とはどのようなチームかとの質問に、「アルバルク東京は非常に良いチームだ。まだまだ自分自身も学ぶことが多い。さらにコミュニケーションの量を増やしていけば、さらにプレーが噛み合う部分も増えて、もっともっと良いチームになるはずさ」と謙虚に語る。

 ノースカロライナ大やNBA、各国のリーグで学んだことが同じチームでプレーする選手たちに伝播したとき、A東京のチーム力はもう一つステップアップするのかもしれない。ウィリアムズが師事した指導者たちが、彼の高いバスケットIQの成長を促したように、ウィリアムズが若き選手たちの成長の一助となってくれることに期待したい。

文=村上成