2020−21シーズン、富山グラウジーズはリーグ1位の平均得点89.2をたたき出し、ワイルドカード上位(東地区4位)でチャンピオンシップ出場を果たした。今シーズンはその攻撃力を維持しつつ、守備力を向上させるという難題に挑んでいる。それが果たされた時、CS1回戦敗退に終わった昨シーズンを上回る旋風を、初参戦となる西地区で巻き起こすだろう。

 昨シーズンの富山は3ポイントシュート成功率が37.4パーセント(リーグ4位)と、アウトサイド攻撃も得意としていたが、対戦相手にとって最大の脅威はインサイド攻撃だった。その中核をなしたジュリアン・マブンガとジョシュア・スミスが残留していることは何よりの好材料だろう。

 両選手による2メンゲームは高い得点力を誇るほか、ファウル獲得にも貢献した。昨シーズンの富山のフリースロー試投数1449はダントツの1位であり、マブンガ(リーグ1位の413)とスミス(同4位の311)でほぼ半数を占めている。

 さらに、NBAのロサンゼルス・クリッパーズやメンフィス・グリズリーズでプレーした身長208センチのブライス・ジョンソンと、フィリピン代表のシューター、ドワイト・ラモスを獲得。オールラウンダーのジョンソンは早くもプレシーズンマッチに出場し、連携を深めている。

 昨シーズンの躍進を支えた20代前半トリオ、前田悟、岡田侑大、松脇圭志はチームを離れた。再構築を図る富山が補強したのは、35歳の松井啓十郎、33歳の小野龍猛、28歳の晴山ケビンと、経験豊富な選手たちだ。本稿執筆時点(9月13日)で松井は開幕に向けて調整段階だが、小野と晴山はプレシーズンマッチで長いプレータイムを得ている。

 これまで、フィジカルを生かした守備で所属チームを勝利に導いてきた両選手の加入は、富山の弱点を補填するピースとしてふさわしい。富山随一のディフェンダー・水戸健史、在籍6年目のエース・宇都直輝、試合をコントロールできる阿部友和らとマッチすれば、チームの総力は飛躍的にアップするはずだ。

◆■KEY PLAYER/SF #33 晴山ケビン

 富山で昨シーズン、60試合すべてに先発した唯一の選手である前田の穴は晴山が埋める。晴山は昨シーズン、滋賀レイクスターズで56試合に出場し、3ポイントシュート成功率39.0パーセントの好成績を挙げている。守備時は激しくプレッシャーをかけつつも総ファウル数は104と少なく、巧みなスキルを発揮した。また、真面目な選手が多い印象の富山にあって、早々に打ち解けた様子の晴山にはムードメーカーの役割も期待される。

文=横田直