開幕をまもなくに控える2021−22シーズン、注目チームにワシントン・ウィザーズを挙げる関係者・ファンは少なくないはずだ。

 それもそのはず、ウィザーズは昨シーズン始めに不幸なケガ続きで“不良債権化”していたジョン・ウォールと引き換えに、トリプルダブル製造機のラッセル・ウェストブルックの獲得に成功。そして、今オフには大車輪の活躍だったウェストブルックをロサンゼルス・レイカーズへトレードし、その見返りにカイル・クーズマ、モントレズ・ハレル、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープを手に入れ、2年を費やしてロスターを刷新することに成功した。さらに、サイン&トレードでスペンサー・ディンウィディーを迎え、ブラッドリー・ビールを援護する強力なバックコートの形成にも成功。2年連続のプレーオフ進出に向けて、視界は良好だ。

◆フィジカルやシュート精度が伸びれば…

 しかし、昨シーズン以上の成績を残すには起爆剤が必要だ。米スポーツメディア『ClutchPoints』は、ウィザーズ成功の“Xファクター”に八村塁をピックアップしている。

 2019年のNBAドラフト9位指名でウィザーズへ加入した八村。キャリア2年目の昨年はお世辞にも飛躍の1年とはならなかったが、『ClutchPoints』のニハド・ズニックは、203センチ104キロの体格はまだ成長の余地を残しており、よりフィジカル面でたくましさを増せば、相手ディフェンスの脅威になれると考えている。

 ウィザーズの背番号8は、前任のスコット・ブルックスからディフェンスのユーティリティ性を高く評価されていた。その反面、得点は1試合平均14点弱と、まだまだ物足りない印象。オフェンス面での貢献度をさらに高めるには、まずアテンプトを増やさなければいけないだろう。昨シーズン、シュート精度の向上は見られたものの、アテンプトはルーキーイヤーと比較しても微増に止まっている。エースのビールは1382本の試投を試みているが、それに対して八村は648本と、アテンプトは半分にも満たない。

 もちろん、それには戦術的な足枷があったのかもしれないが、ウィザーズは今シーズン、新ヘッドコーチにウェス・アンセルド・ジュニアを招聘。デンバー・ナゲッツのアシスタントコーチ時代にニコラ・ヨキッチやジャマール・マレーの才能を引き出した人物で、八村も信頼関係が築ければ、才能が開花するかもしれない。また、ゴンザガ大学の後輩であるコーリー・キスパートがチームメートになったこともあり、先輩としては威厳を見せたいところだろう。NBA3年目、体制の変化と、大きな一歩を踏み出すには十分すぎる要素が揃ったのではないだろうか。

 また、『ClutchPoints』はもう1人のキーマンに新加入のクーズマの名前を挙げた。レブロン時代が到来したレイカーズにおいて、クーズマは人員整理が進むなかで唯一、チームに残留。ただ、その大きすぎる期待が重圧となり、昨シーズンはスタッツも伸び悩み、最終的にはプレーオフ1回戦敗退のスケープゴートとなってしまった。

 しかし、プレッシャーのかからないウィザーズは、クーズマにとってこれ以上にない再出発の家となるだろう。ウイングとしてのポテンシャルは、すでに証明済みだ。
 
 八村とクーズマ。数年前には想像もしなかったコンビだが、フォワード陣が一皮剥ければ、ウィザーズは一躍、ダークホースに名乗りを挙げるだろう。

 文=Meiji