東京2020オリンピックでは、3x3女子日本代表がメダルこそ届かなかったものの5位と健闘。そして5人制では快進撃を続けて準優勝、銀メダルを獲得した。

 日本だけでなく世界を熱狂させた日本代表選手たちにオリンピックのことや10月から始まるWリーグ、さらにはその先についての話を聞いた。

 第1回は3x3女子日本代表の馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)。大会中は髪を五輪にちなんで5色にしたことでも話題を呼んだが、試合ではオールラウンドな働きで攻防において活躍。大きなインパクトを残した。

◆五輪の準々決勝・フランス戦は「人生において大切な試合」

――東京オリンピックを終えて約1か月が経ちました。
馬瓜 結果こそ良いといえるものではなかったですが、強豪チームと対戦し、アメリカにも勝つことができたので、自分自身を成長させてくれた期間でした。最後に(準々決勝で)負けてしまいましたが、負けたからこそ感じられることもありました。

――3x3の面白さ、日本の良さは十分に伝わったと思います。
馬瓜 オリンピックが1年延期になり、(3x3の女子日本代表は)オリンピックの切符がなくてオリンピック予選からずっと長い間やってきました。最終的にそれがオリンピックでは(メダルという)形に残すことはできなかったのですが、オリンピック期間中やその前から様々な人に3x3は面白いと言ってもらったことがうれしかったですね。

――大会では自身のどのような良さが出せたと感じていますか?
馬瓜 ドライブでのアタック、外からのシュートも躊躇なく打てたと思います。そこは3x3をやっていなかったら5人制でもそういったプレーをすることはなかったと思いますね。

――逆に課題は?
馬瓜 勝ち切るという点では、気持ちの面もそうですし、相手との体格差がある中で、どう攻めて守るかがまだまだ詰め切れていなかったと感じました。

――準々決勝(対フランス)で敗れた時の心境は?
馬瓜 1点負けていた中で最後に私のシュートが入っていれば延長もありえたし、相手のファウルが7回だったので、せめてファウルをもらえていたらという悔しさがありました。それと申し訳ないという気持ちも大きかったですね。

――試合後、泣き崩れてなかなか立ち上がれませんでした。そういった姿は中学、高校も含め、これまであまりなかったように感じます。
馬瓜 そうですね。(ウインターカップ決勝で敗れた)高校2年生以来ですかね。人生の中で、そういう試合はいくつかあると思うのですが、そういう意味ではターニングポイントというか、人生において大切な試合だったなと思います。

 ああいう試合を経験すると、マイケル・ジョーダンの「僕は大事な試合で最後のシュートを何度も外した」「成功したと言われているけれど、失敗もたくさんあった」という言葉が自分の中で響きますね。

――それだけ大きな責任を背負って挑んでいたのだと感じました。
馬瓜 自覚がない中でもプレッシャーを感じていたんだと思います。山本(麻衣)とも準々決勝の夜に話をしたのですが、心がしんどかったり、全員オリンピックが初めてだったので、どういう心持でいけばいいのか分からなかったり、やっぱり本番は違うよねと。でも、今回はそれを経験できたことが大きいかなと思います。

 あの時のことは、今思い出すだけで泣きそうです。知らず知らずのうちに色々感じてたんだとは思いますね。オリンピックが1年延びて、延びたことは良かったとは思っているのですが、気持ち的には気を張った状態が続いていたというのが全員あったと思います。

◆トヨタ自動車では2シーズン連続で副キャプテンに就任

――そのオリンピックでの反響は何か感じましたか?
馬瓜 選手村にいる間はテレビが見られなかったので外の世界がどうなっているか全然わからなかったんです。でも、いろんな人から連絡が届いて、「3x3は知らなかったですが馬瓜さんの髪型を見て見始めたら楽しかったです」や「今までも3x3を見てきましたが、こんな熱い試合は初めてです」とも言ってもらえて。いろんな人の興味を持つキッカケになったことがうれしかったです。

――選手村での生活は?
馬瓜 いろいろな競技の人がいて、トレーニングルームでもボクシングの選手がシャドーボクシングをしたり、重量挙げの選手はめちゃくちゃ重いバーベルを上げていたりして、すごい人たちのトレーニングを目の当たりにしました。「この人はあの競技だろうな」と予想するのが楽しかったですね。道でもスケートボードに乗っている人もいて、世界がギュッと詰まった感じでした。

――大会ではヘアスタイルも話題を呼びました。
馬瓜 あのスタイルにしたのは大会1週間前。髪型を変えようとは思っていたので、オリンピックカラーは今しかできないからやっちゃおうと。直後はやり過ぎたかなと思ったのですが、その時しか浮かれられないからいいかなって(笑)

――5人制の活躍はどう見ていましたか?
馬瓜 選手村から出てテレビを見たら、女子バスケットが紹介されていて、そこにまずビックリしました。接戦もモノにして勝ち進んでいて、気持ちが強いなと思いました。誇らしいと同時にやっぱり悔しいなという気持ちももちろんありましたね。

――姉のエブリン選手(トヨタ自動車アンテロープス)については?
馬瓜 試合に出たら自分の仕事をしっかりこなしていたので本人も楽しんでいたのではないかなと思います。

――姉妹でのオリンピック出場でした。
馬瓜 トヨタ自動車では一緒ですが、日本代表活動では一緒になったことがないので、不思議な感覚でした。私たちが味の素ナショナルトレーニングセンターから選手村に出発する時、5人制のみなさんが見送りに来てくれて、エブリンとも「お互い頑張ろう」と話をしました。その時に『本当に2人とも出るんだな』と、ジワジワと実感が沸きました。

――今は9月末のアジアカップに向けた日本代表として活動していますし、トヨタ自動車での活動も本格化しています。
馬瓜 (9月3日から5日に開催された)オータムカップではトヨタ自動車でも日本代表でも試合に出ましたが、日本代表の中での自分の役割も試合を通して見えてきました。トヨタ自動車でも今シーズン初めての公での試合で、まだ全員そろってはいないですが、『あ、トヨタだな』というホーム感は感じました。メンバーが半分近く変わり、また新しいトヨタ自動車を見せられるのではないかなと思います。

――トヨタ自動車での役割は?
馬瓜 昨シーズンから副キャプテンをやらせてもらっているので、年上の選手と年下の選手をつなぐことはそれまでと変わらずやっていきたいです。今シーズンは移籍組やルーキーが多くいるので、わからないことを教えるなどカバーすることも大事な役割だと思っています。

 プレー面では昨シーズン同様、自分のプレーをし続けることが大事で、チームの流れを作っていくことも意識したいです。

――最後に、連覇がかかるトヨタ自動車の一員としての抱負をお願いします。
馬瓜 とても活気があるのがトヨタ自動車のいいところです。ルーカス・モンデーロヘッドコーチの指示の下、変幻自在な動きを見せるし、ベンチのパフォーマンスでも一緒に盛り上がれたらいいなと思います。

 選手個々では日本代表メンバーが多い中、それぞれが自分のプレーを出し、アタックする姿を見てほしい。私自身は、ドライブからのプレーでみなさんに楽しんでもらえればと思います。

取材・文=田島早苗