「NEW PHOENIX」。ブラニスラフ・ヴィチェンティッチHCは、インタビュー中で何度もこのフレーズを繰り返した。

 本来であれば、ヴィチェンティッチHCが就任した昨シーズンを“不死鳥復活“元年としたかったところだろう。しかし、新型コロナウイルスの影響でHCと外国籍選手の合流が遅れ、さらにサーディ・ラベナ、西川貴之ら主力選手のケガが相次ぎ、西地区9位でシーズンを終えた。

 ヴィチェンティッチ体制2年目の今シーズンは、チームの象徴である二人のベテラン、太田敦也と岡田慎吾、昨シーズン加入した津屋一球、サーディ・ラベナ以外のロスターを刷新する改革を断行。外国籍選手も総入れ替えを行った。昨シーズン、リーグワーストとなった失点数(平均87.2点)、リーグ最少の3ポイントシュートの成功数(6.37本)という攻防の課題を改善すべく、ディフェンス力、シュート力に定評のある松脇圭志、杉浦佑成、津山尚大らを積極的に獲得。「プレシーズンを一緒に過ごして、新たなスタイルのバスケットを作り上げている」(ヴィチェンティッチHC)。

 ゼロからのスタートとなる今シーズン、指揮官が重点を置くのはディフェンスの強化だ。「アグレッシブなディフェンスに最もフォーカスしています。才能のある選手が揃っているので、トランジションでもセットオフェンスでもタフにディフェンスをし、そこからいいオフェンスにつなげて、3ポイントシュートを決め切ることを目指しています」。

 9月11日に行われたFE名古屋とのプレシーズンゲームを見ると、戦術の浸透はまだこれからといったところだが、チームの雰囲気はいい。「12人全員がキープレーヤーだと思っています。一人のプレーヤーが活躍したからといって勝てるわけではないので、毎試合キープレーヤーが変わって出てくるようなチームが理想。全員がファミリーとして戦うのが今シーズンの目標です。その中で、チームが勝つためにコート上でリーダーシップを発揮できる選手がどんどん出てくることを期待しています」とヴィチェンティッチHCは競争意識と一体感を大切にしていると話す。

 今シーズンの目標を問うと、「自分たちの中で大きな目標を決めているが、今はそれを達成するために取り組んでいる段階なので秘めておきたい。シーズンが始まったら、それを爆発させたい」とヴィチェンティッチHCは穏やかな口調に、静かな闘志をにじませた。「NEW PHENIX」が高く羽ばたいていく姿を思い描きながら、シーズン開始を楽しみに待ちたい。

■KEY PLAYER/SG #0 サーディ・ラベナ

 フィリピンのインカレにあたるUAAP選手権で3連覇を達成。自身も3年連続でMVPを受賞したフィリピンの大学ナンバーワンプレーヤー。昨シーズン鳴り物入りで三遠に加入し、華々しくプロデビューを飾るも、その後は新型コロナウイルス感染やケガで長期離脱を余儀なくされ不本意なシーズンを送った。わずか18試合の出場にとどまったが、出場した試合では豪快なダンクやブロックショットなど身体能力の高さを見せつけ、平均9.1得点を挙げたポテンシャルに疑いはない。

 「コートから離れていた期間に、特にメンタル面で成長できた」と語るラベナが、シーズン通してコンスタントに活躍できるかが今シーズンのカギを握る。

 文=山田智子