東京2020オリンピックでは、3x3女子日本代表がメダルこそ届かなかったものの5位と健闘。そして5人制では快進撃を続けて準優勝、銀メダルを獲得した。

 日本だけでなく世界を熱狂させた日本代表選手たちにオリンピックのことや10月から始まるWリーグ、さらにはその先についての話を聞いた。

 第9回はシューターを担った三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス)。5年前のリオデジャネイロに続き、2回目となるオリンピックについての振り返りや、連覇を目指すWリーグに向けての思いを語った。

◆代表活動の4か月間は「バスケットと一番向き合った期間」

――まず初めに東京オリンピックを振り返ってください。
三好 銀メダル獲得という結果を残すことができ、そのメンバーの一員としていられたので、特別な大会でした。個人的には出場時間は少なかったですが、やるべき仕事はできたのかなと、悔いなくやり切れたと思っています。

――プレータイムが伸びず苦しんだというのはありますか?
三好 やっぱり試合に出たいという思いはあったのできつかったです。でも、同じポジションのキキ(林咲希/ENEOSサンフラワーズ)はシュートをたくさん入れていたし、なな子(東藤/トヨタ紡織サンシャインラビッツ)もディフェンスで流れを変えていたので。私の仕事は試合に出たらシュートを決めることですが、ベンチでは大きな声を出してみんなを盛り上げることに徹し、それは100パーセントできたと思います。

――改めて銀メダルへとつながった日本の強みとは?
三好 3ポイントシュートの確率ですね。日本は小さい分、インサイドではあまり点を取れないけれど、3ポイントシュートを多く打って多く決めるということはできたし、強みだったと思います。

――3ポイントシュートを確率良く決めることができた理由は?
三好 メンタルももちろんですが、個人的にもこの4カ月間、4月から始まった代表合宿では、人生で一番ではないかと思うくらいシューティングをして、バスケットと一番向き合った期間でした。もちろん練習がすべてではないと思うし、考え方はそれぞれですが、シューティングで打ち込んだという自信が私はありました。それは他の選手も同じかなと。『これだけやったんだから入るだろう』という思いで試合に臨みました。

――何が、今までで一番というぐらいバスケットに向き合わせたと思いますか?
三好 やっぱり母国で開催されるオリンピックに出たいという気持ちですね。そのためにやれることをやろうという思いが強かったです。それにコロナ禍で外出もできない、他のこともできなかったので、バスケットに向き合う時間は多かったです。

――大会中、メダルを取れると感じた試合はありましたか?
三好 個人的には(準々決勝の)ベルギー戦に勝ってメダルを確信しました。でも、(初戦の)フランス戦でも通用すると感じたし、ナイジェリア戦では『このまま本当にメダル取るところまでいけるかもしれない』と思っていました。

――2大会連続のオリンピックでした。
三好 観客がいたらもっと盛り上がったとは思いますが、今回は見てくれいた方たちの反響がすごくて。東京開催のオリンピックで、みんなが注目してくれたのだと感じました。

――日本チームのどんな良さを伝えることができたと感じていますか?
三好 プレーでは、トランジションの速さやガードが切ってからの3ポイントシュートなど小さいからこそできるバスケット。コート外ではリツさん(髙田真希/デンソーアイリス)が作り出してくれる雰囲気なのかもしれないですが、全員が仲良く、一致団結して戦っているところは見せることができたと思います。

――オリンピックでは、開会式などで他競技の選手と写真を撮りましたか?
三好 卓球や柔道の選手、NBAではルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)とも撮ってもらいました。開会式では自分たちから「撮ってください」と言っていましたが、閉会式は逆に「撮ってください」と言われることがあって。日本の選手から「応援してました。見てました」と言われ、メダル取るとこれだけ変わるんだなと思いましたね。

◆「3ポイントシュートの確率を安定させたい」とシーズンを見据える

――大会後は母校の桜花学園高校に行き、恩師・井上眞一コーチの首にメダルをかけていました。
三好 井上先生はずっと「重いな、大きいな」と言って、ニコニコしながらメダルを見ていました。その姿を見たら、良かったなぁと思いましたね。

――桜花学園時代があっての今という思いもありますよね。
三好 そうですね。それこそ中学ではセンターとかやってたけれど、高校でガードのポジション一から教えてもらったので。

 私は運のいい人生だと思っているんです。当時、高校卒業後は大学に進学する予定だったのをWリーグに行くことに変えたし。日本代表でも9年間で2回しか(トップ代表が出場する)国際大会に出ていないのですが、それが2回ともオリンピック。運が良かったと思います。

――いや、それは実力があってのメンバー入りだと思います。ただ今回は、これまでだと3x3日本代表の活動も行っていましたが、5人制に専念。その方が強みを出せると思ったのですか?
三好 軸としてはオリンピックに出たいという思いが一番にありました。一時は3人制の方がチャンスがあるのかなと思っていたのですが、東京オリンピックまでの最後2年くらいで、3ポイントシュートの強みを発揮できるのはトムさん(ホーバス・ヘッドコーチ)のバスケットかなと思い5人制の活動に参加することにしました。

――大会後は、宮崎選手たちと『テレビに出たい』とアピールしていましたが(笑)
三好 一人では需要がないのは分かっているんです(笑)。でもそういうことをSNSで発信すると少しバズるじゃないですか。それは正直うれしいですね。テレビなどは(馬瓜)エブリン(トヨタ自動車)のように話のできる選手が出ればいいので、私はガヤじゃないですが、SNSぐらいがちょうどいいのかなと思っています。

――さて、Wリーグの話です。オリンピックでの経験をチームにどう還元したいですか?
三好 これだけの結果を残すことができたのも、トヨタ自動車というチームの代表として選んでもらったからなので、選ばれた私たちはその経験をチームに伝えていかないといけない立場だと思っています。

 まずはオリンピックでも表現できた1人ひとりが自分の仕事やストロングポイントを理解して、それを試合にぶつけること。これを伝えていきたいです。自分の仕事は何か、その仕事をしっかりやればいいんだよということを、コミュニケーション取りながら伝えられればと思っています。

――今シーズン、どのようなプレーを見せていきたいですか?
三好 昨シーズンは確率が良くなかったので、今シーズンは3ポイントシュートの確率を安定させること。オリンピック期間中は3ポイントシュートに徹していました。その分、シュートに関しては確率良くできていたので、シューティングはそのまま続けていきたいです。また、3ポイントシュートを打つことは国内では知られているので、3ポイントシュートからドライブやパスなど、3ポイントシュートを起点にしながら他の動きも入れていきたいです。

――『ディープスリー』も引き続き狙いますか?
三好 チャンスがあればどんどん打っていきたいです。その面白さというか、『そこから打つんだ』というプレーができたらいいなと思っています。

取材・文=田島早苗

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