今夏のフリーエージェント(FA)戦線が幕を開けてから約1か月。昨季の王者ゴールデンステイト・ウォリアーズは先発センターのケボン・ルーニーと再契約し、ガードのドンテ・ディビンチェンゾと契約、フォワード兼センターのジャマイカル・グリーンとも契約合意と報じられている。

 ロースターにはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンのビッグ3にアンドリュー・ウィギンズ、ジョーダン・プール、ジョナサン・クミンガ、ジェームズ・ワイズマン、モーゼス・ムーディーがおり、今季も十分チャンピオンシップ獲得を狙える戦力を有している。

 ただ、オットー・ポーターJr.(現トロント・ラプターズ)にゲイリー・ペイトン二世(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)など、昨季の優勝メンバーが複数移籍しており、昨季全休したワイズマンが復帰することを加味しても戦力ダウンしたと言わざるをえない。

 とはいえ、ウォリアーズには今後数年間で複数回の優勝を狙うだけでなく、今後10年間に渡って覇権争いへ参戦するという長期的なゴールがあるため、カリーらベテラン陣とチームの将来を託すこととなるヤングコアたちをつなぐ役割をこなせる選手の獲得が望ましいところ。

 その適任者はアンドレ・イグダーラだろう。昨季3シーズンぶりにウォリアーズへ復帰し、ビッグ3と共に4度目のチャンピオンシップを勝ち取った38歳の大ベテランは、今もなお制限なしFAとなっている。

 イグダーラはビッグ3だけでなく、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)からも絶大な信頼を得ており、昨季のNBAファイナルが始まる前、指揮官はこんな言葉を残していた。

「アンドレは特に今シーズン、すばらしかったよ。彼は(選手たちへ)カウンセリングとアドバイスをしてくれたんだ。このチームを語るうえで、彼の指導とリーダーシップ、知恵は本当に大きなものなんだ」。

 キャリア18シーズン目となった昨季、イグダーラは度重なるケガもあって31試合の出場に終わり、平均19.5分4.0得点3.2リバウンド3.7アシストと、個人成績こそ軒並みキャリアワーストだったものの、3年ぶりのプレーオフ返り咲き、そして王座獲得を目指したウォリアーズでメンター(助言者)、アシスタントコーチ(AC)のような役割もこなしていた。

 先日公開されたイグダーラとエバン・ターナー(元ボストン・セルティックスほか)によるポッドキャスト番組「Point Forward」で、オーナーのジョー・レイコブがゲスト出演した際、こんな会話が交わされていた。

イグダーラ「皆は僕に戻ってきてほしいの?」
ターナー「ドレは2800万ドル(約37億5200万円)欲しいと言ってるよ」
レイコブ「彼がその額を受け取ることはない。この私が保証する。…それなら私は若い選手たちへ支払わなきゃいけないね」

 ウォリアーズはすでに2ウェイ契約枠(2選手)が埋まっており、14選手が本契約を結んでいるため、ロースター枠はあと1名のみ。すでにサラリーキャップを超過しているため、イグダーラのような功労者であろうと高額年俸を支払うことはできないというのが現状だ。

 もっとも、イグダーラはチームの年俸総額を十分把握しているはずで、自身に求められている役割、そしてそれがどれほど重要なのかも理解していることだろう。

 となると、イグダーラはチーム側と金額面で折り合いがつけば再契約、という位置にまできているのかもしれない。ベテラン最低保証年俸かどうかで話し合いを進めているのであれば、是非ともウォリアーズへ戻ってきてほしいというのが選手たちやコーチングスタッフの率直な思いではないだろうか。