「自分自身が一番緊張しました」

 7月15日から17日にかけて開催された「Wリーグ サマーキャンプ2022 in 高崎」。15日に初戦を終えたトヨタ自動車 アンテロープスの大神雄子ヘッドコーチは、微笑みながらこう語った。

 2022−23シーズンよりトヨタ自動車の指揮を執ることとなった大神HCにとって、サマーキャンプの初戦は自身にとっての“初陣”であった。

 試合は77ー94で日立ハイテク クーガーズに敗れたものの、「人数が少なく、(新シーズンに向けた)チームのスタートも遅かった中で、40分近く出た選手もいました。選手たちは本当に頑張ってくれていて感謝しています」と、少人数で戦った試合を振り返った。

 サマーキャンプのテーマは「アグレッシブに自分たちでチャレンジすること」。トライ&エラーを繰り返しながら、個々のレベルアップにつなげればといった考えで臨んだという。

「昨シーズン、あまり試合に出られていなかった選手が、この経験を経て自信につなげてほしいと思っているので、だからこそトライしてほしいです。昨シーズン、悔しい思いをして、プレータイムに飢えている選手もたくさんいるので、試合ができる喜びを感じながら、(サマーキャンプでは)自分のことにフォーカスしてほしいと思っています」(大神)

 トヨタ自動車は、目下Wリーグで2連覇中。大神HCは、昨シーズンまで3シーズンにわたってチームを率いた名将のルーカス・モンデーロ氏からチームを引き継いだ。「2連覇しているチームから受け継ぐのは誰もができる経験ではないし、なかなかできない挑戦だと思います。そういったチャレンジをさせてもらっていることに感謝しています」。また、「結果はついてくるものなので、その前の準備を絶対に怠らず、一生懸命やっていきたいです」と抱負を語った。

 ただ、3連覇が懸かるチームの指揮官に就任し、大きなプレッシャーもあるはずだ。それでも、「プレッシャーがないと言ったら嘘になります。でも、チーム全員で優勝という目標へと向かっていくことには変わらないので」と言う。

「基本的にディフェンスは(引き続きアソシエイトヘッドコーチを務める)イヴァン(トリノス)さんがいてくれるので、ディフェンス、オフェンスともにそこまで大きくは変わらないと思います。(昨シーズンまでは)ルーカスがすごくいいバスケットをしたからこその結果だと思うので、それを変えるつもりは全くなく、どちらかというと今はコーチ陣が役割を持って取り組んでいる中で、私はその整理整頓役かなと思っています」

 そう話す姿から気負った様子は感じられないが、「2004年アテネオリンピック」出場など日本代表で活躍し、日本人選手として2人目のWNBAプレーヤーにもなった大神HCがいよいよトップリーグの指揮官としてコートに立つとなれば、注目も浴びるだろう。

 しかし、「選手の時やアメリカ(WNBA)のルーキーシーズンではどんな感じだったかな? と思い返すと、周りに助けてもらって自分がいたと思うんですよね。HCのポジションではありますが、イヴァンや松井康司アシスタントコーチ、ポートスタッフのソウ(栗原三佳)にサン(三好南穂サポートコーチ)たちスタッフ、そして選手たちなど、周りにたくさん助けてもらいながら進むシーズンになると思います」と語る。

 HCとなり、コート以外での決定事項も増えてきたという。

「自分自身のビジョンはブレていません。でも、そこに進むにも自分だけの力では無理で、今回なら会社の理解があって、(HCとして)コートに立たせてもらっていると思っています。その中で何ができるのかといったら、自分自身は本当に準備を怠らずにコーチたちと信頼してやっていくことだと思っています」

 モンデーロ氏が築き上げたトヨタ自動車を大神新HCがどんな色に染めていくのか。シーズンの開幕が楽しみでならない。

文=田島早苗