8月4日、日本バスケットボール協会は「FIBAバスケットボールワールドカップ2023・アジア地区予選」Window4の直前合宿参加メンバー16名に、昨夏の東京オリンピックにも出場した馬場雄大が名を連ねた。

 同オリンピック以来の日本代表招集で、今回の目玉のメンバーの一人だ。トム・ホーバスヘッドコーチの下では初めてのプレーとなり、彼のスタイルへどれだけフィットするか、そして海外でもまれてきた経験と技量をどれだけ披露できるかが見ものとなってくる。

 2018−19シーズンまではBリーグ・アルバルク東京に所属し、ここ3年はNBA入りを目指し海外でプレーしてきた馬場だが、新型コロナウイルスの影響など状況の変化に翻弄されてきたし、自身の感染や故障もあって十全にプレーはできていない。

 昨シーズンはNBA下部組織のGリーグ テキサス・レジェンズで開幕を迎えるも、序盤にコロナに感染し、8試合の出場にとどまった馬場。3月末には前年リーグ優勝に貢献したNBLのメルボルン・ユナイテッドと再契約をしたが、シーズン途中からの加入で以前のような活躍をしろというのは無理な注文だった。7試合に出場した195センチのシューティングガードは、前年と大きく変わらない約19分の出場時間のなかで、平均3.86点、1.71リバウンド、3ポイントの確率は20パーセントと落としている。ポストシーズンでも目立ったパフォーマンスはできず、チームはセミファイナルで敗退した。

 その後、夏にはNBAゴールデンステート・ウォリアーズと契約し、7月にサンフランシスコとラスベガスでのサマーリーグに参戦。サンフランシスコでは2試合に出場し平均10.3分出場で、2.0得点。そして肝心のラスベガスでは練習時に痛めた腰の故障の影響で最初の3試合を欠場。最後の2試合でプレーするにとどまり、平均11.7分の出場で3.5得点に終わった。得意のスピードを生かしたドライブインやファストブレイクからの得点といった場面はあったものの、3ポイントは1本も決められずインパクトを残すまでには至らなかった。

 そして、今回の日本代表活動だ。上述したように昨シーズンは2つのリーグでプレーしたが、多くの出場時間を得ていないことを考えると試合勘の部分では不安はある。とはいえ、前任のフリオ・ラマスHCとは異なるスタイルを敷くホーバスHCのバスケットボールにどれだけフィットするかは興味深い。

 ホーバスHCの敷くファイブアウトのオフェンスについて馬場自身は「バスケ人生でやったことのないスタイル」と述べているが、その中で同HCからは「10回攻めるなら7本は3ポイントで、3本はドライブ」(馬場)という明確な指示を受けている。馬場本人もドライブインありきの3ポイントから「3ポイントがあってこそのドライブ」(馬場)へと意識の変化に努めているという。

 馬場の売りはスピード、3ポイント、ディフェンスだ。この3つを彼の身長で備えているのは、現状の日本代表のアウトサイド陣の中だと、西田雄大(シーホース三河)以外にはいない。

 7月のアジアカップ。日本はイラン戦で敗れているが、この試合では西田が第1クォーターで2つのファールをしてしまい、彼がベンチに下がったあとは相手の195センチのSG/SFで得点源の1人であるモハマド・ジャムシディをフィジカル的に抑えられる選手がいなくなってしまった。しかし、ここにホーバスHCの言う「特別なディフェンダー」である馬場が加わることでミスマッチが生まれにくくなる。

 また馬場は、リバウンドへの意識も高く、自身のディフェンスリバウンドからそのままボールをプッシュして速攻に持ち込む能力も高い。アジアカップでは改善傾向が見られたものの、ホーバスHC体制となってからの日本はファストブレイクからの得点が総じてできていなかった。馬場の加入はこの点においても、明るい材料を提供できる。

 アジアカップでは渡邊雄太が参戦し、NBAでプレーしてきた別格の力量でチームを引っ張った。もちろんビッグマンの渡邊と馬場ではもたらすものは異なる。しかしワールドカップやオリンピックを含めた豊富な国際経験と特別な能力で、馬場も彼なりに日本代表をけん引することが期待される。

「海外でやってきたなかでもちろんリーダーシップの部分で、チームに対して自分が先頭を切って見せていかないといけない」。チームメートを信頼しながら落ち着いてプレーすることも肝要であるとした馬場だが、場面に応じて自身が国内外で培ってきた経験を発揮する意気込みを見せている。

文=永塚和志