東京体育館にて『ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会』女子1回戦、中津北(大分県)は42−72で土浦日本大学(茨城県)に敗れた。この試合、中津北の粘り強い試合運びとともに目についたのは大津留礎(おおつるもとい)コーチのポジティブ全開の声掛けだ。
 「いいよ!」「もう1回がんばれ!」「よーし、よく動けてる!」と、とにかく前向き。選手も、その声に応えるように全力で最後まで走り続けた。

 
 試合後に、少しかれた声で取材に応じた大津留コーチは「うちのチームの特性は、自分たちで考えてバスケットをすることです。随分と自己開発能力は上がってきたと思いますが、(土浦日本大のような)強い相手とやったときにそれを発揮できませんでした」と敗因を語り、「もう少し色々なプレーヤーを使えれば良かったのですが……。練習のときからそれが出来ていなかった。ベンチのミスです」と自身を責めた。

 ベンチで選手とともに喜び、ときに跳びはねて感情を爆発させる姿については「罵声や怒声は嫌いなんです。個人的に」と苦笑いを浮かべた。「練習試合では罵声を飛ばしてしまうことはありますが、僕は本番の試合にはこだわりがあるんです」と語り、そのこだわりについて「自分が選手を叱咤するときでも、ポジティブなことが言えないようだと、自分のベンチワークの負けだと思っています」と続けた。また、「試合は選手と一緒に楽しみたいんです。だって、選手は一生懸命やってるんだもん」と満面の笑顔を浮かべ、「失敗したくてしているわけではないので、そこで強制力によってプレイさせるのではなく、自分がそのタイミングでどのプレーを選ぶのか、選手自身が開発していかなければならないと思っています」と述べた。

 苦楽をともにしたキャプテンの畑中みつみ、この試合で24得点を挙げたエースの東真菜ら3年生へのコメントを求めると「ありがとうだけ。感謝しています。おかげで僕は楽しめましたから」と語り、懐かしそうに「泣きながら僕が彼女たちに文句をいったこともありましたけど、素晴らしい思い出ばかりです」と目を細めた。そして、「3年生との良い思い出が財産ですから。よくやってくれました最後まで。もう、残念だけど、しょうがないなぁ」と少し涙声ではあるものの、最後までポジティブに締めくくった。

 試合終了後、選手を集めたミーティングでも選手よりも先に涙をこぼした大津留コーチ。人情味あふれる恩師にキャプテンの畑中は「とても熱くて、自分たちが落ちこんでもとにかくポジティブに励ましてくれる頼もしい存在です」と口にする。バスケットボールを通じて学んだ自主性、そして考える力が中津北の3年生たちを押し上げる大きな力になるのであれば、大津留コーチも「それも成功の1つだぞ!」と笑顔で応えるに違いない。

文=村上成