どんな大会でも初戦は嫌なもの。特にシード校が迎える最初の試合で、1試合戦ってきた相手に敗れるケースが多々ある。大会の入り方を誤ると“番狂わせ”の洗礼を受けることとなるわけだ。もちろんそれは誰もが知っているはずなのだが、高校生だからこそ、そのアリ地獄にはまってしまうのかもしれない。

 12月24日、女子のシード校が登場した大会2日目、シード校の開志国際(新潟)は、本来のバスケができず初戦敗退を喫した。ただ、対戦相手はU−18日本代表の三間瑠衣(3年)を擁する広島皆実(広島)だけに、簡単な相手ではないことは承知のはずだった。

 34−32と2点リードで前半を折り返した開志国際だったが、第3クォーターに広島皆実の猛攻を食らう。それが三間を中心としたインサイドというよりも、外角からの攻撃だった。広島皆実は奥村鈴(3年)のバスケットカウントで逆転すると、坂本理子(3年)や高木葵(3年)の速攻や3ポイントシュートで得点ペースを上げていく。積極的に仕掛けてくる広島皆実のオフェンスに対し、開志国際のディフェンスの足が一瞬止まったかに見えた。第3クォーターが終わる頃には、64−55と広島皆実が9点ものリードを奪っていた。

 第4クォーター、開志国際はエース藤永真悠子(3年)を中心に反撃を試みる。それに対して広島皆実は2−2−1のゾーンプレスや1−3−1のハーフコートゾーン、そしてマンツーマンとチェンジングディフェンスで応戦。途中、三間が4個目のファウルを犯しベンチに下がる場面もあったが、2年生の中本葉月がそれをカバーして、開志国際にペースをつかませない。後のない開志国際は結果的には1点差まで追い込んだが、第3クォーターで奪われたリードを取り返すことができず、初戦で姿を消すことになった。

 「こういうことが起こりうる代でしたが、冬に向けて修正して臨んだはずでした」と、開志国際の伊藤翔太コーチは試合を振り返った。「足が止まってしまい、自分たち本来のチームバスケットができませんでした。これはメンタル的な部分の問題もあったと思いますが、相手のいい時間帯で我慢ができませんでした。ボールを持った人間しか頑張っていませんでした。周りの人間が何もしていない。シュートが入らなくてもリバウンドやディフェンスを徹底することを指示しましたが、選手にそれをさせ切れなかった自分の責任でもあります」と、本来の力を出し切れなかった試合内容に悔しさをにじませた。

 「自分の責任で負けました。自分が得点すべきところで点を取り切れませんでした。広島皆実が力のあるチームだとわかっていましたが、我慢ができず、詰めが甘かったです。力が足りなませんでした…」。藤永は涙こそこらえていたものの、悔しさで眼を真っ赤にしていた。

 高校生だからこそ陥るアリ地獄。ただ、この経験を将来に生かすことができるのも高校生の特権だ。日本代表入りする可能性がある逸材だけに、この苦い経験を大切な財産にしてほしい。 

文=入江美紀雄