◆ MVP投票でヨキッチに次いで2年連続2位に入っていた男が初選出
チェンバレンやドクターJ、アイバーソンらに次ぐ球団史上5人目の快挙

 5月3日(現地時間2日、日付は以下同)。NBAは2022−23レギュラーシーズンの最優秀選手賞(MVP)に、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのジョエル・エンビードが選出されたことを発表した。

 100名のスポーツライターと放送関係者たちによる投票で、1位票が10ポイント、2位票が7ポイント、3位票が5ポイント、4位票が3ポイント、5位票は1ポイントが換算され、エンビードは1位73票を集めて計915ポイントを獲得。

 最終候補に名を連ねたデンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチが1位票15を含む計674ポイントで2位、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボが1位票12を含む計606ポイントで3位、ボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムが計280ポイントで4位に入るも、1位票は最終候補に入った3選手しか獲得しておらず、4位以下に大差をつける結果に。

 シクサーズの選手がMVPに選ばれたのは、1965−66から1967−68に3シーズン連続で選出されたウィルト・チェンバレン、1980−81シーズンの“ドクターJ”ことジュリアス・アービング、1982−83シーズンのモーゼス・マローン、2000−01シーズンのアレン・アイバーソン以来、フランチャイズ史上5人目。

 カメルーン出身選手としては史上初、アフリカ出身選手としても1993−94シーズンのアキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか/ナイジェリア)に次ぐ2人目となった。

 今シーズンのエンビードは、66試合の出場で平均33.1得点10.2リバウンド4.2アシスト1.0スティール1.7ブロックにフィールドゴール成功率54.8パーセント、フリースロー成功率85.7パーセントをマーク。

 得点は2シーズン連続でリーグトップになったほか、リバウンドは8位、ブロックでは7位にランクイン。シーズン平均33.0得点10.0リバウンド以上を記録したのは、1974−75シーズンのボブ・マッカドゥ以来初で、今シーズンにエンビードが残した平均33.1得点は、1965−66シーズンのチェンバレン(平均33.5得点)に次ぐ球団史上2位のハイアベレージとなった。

 シクサーズのチームメートたちと一緒の部屋でMVP発表を知らされると、エンビードはともに戦っている味方たちから祝福され、隣にいたトバイアス・ハリスから肩をたたかれ、“MVP!”の大合唱。相棒でロケッツ在籍時の2018年にMVPを獲得しているジェームズ・ハーデンから背後からハグされていた。

 その後“Inside the NBA”のインタビューで、29歳のビッグマンはこう話していた。

「自分がどこからスタートしたのかも分からない。努力を積み重ねて、やっと実現したんだ。たくさんのことを経験してきた。それはバスケットボールのことだけじゃない。いい気分だ。なんて言えばいいか分からないね。素晴らしいことさ」

 2シーズン連続でヨキッチが選ばれるなか、MVP投票でいずれも2位に入っていたエンビードにとっては3度目の正直と言えるだろう。

 シクサーズは現在、セルティックスとのカンファレンス・セミファイナルを戦っており、チームはエンビードが右ヒザ外側側副靭帯の捻挫により欠場も、2日に敵地で行われたシリーズ初戦でハーデンが45得点6アシスト2スティール、タイリース・マクシーが26得点4スティール、ハリスが18得点、ディアンソニー・メルトンが17得点、ポール・リードが10得点13リバウンドを残して勝利を飾った。

 今シーズンの“MVP”エンビードが戦列復帰となれば、シクサーズはさらに勢いづくことになりそうだ。

【動画】今シーズンのMVPに選ばれたエンビードのベストプレー集!