◆7シーズンで球団史上10位の平均得点を残し、MJに次ぐMVPも獲得
「そんなこと考えたこともなかったけど、そのアイデアは最高だね」

 5月10日(現地時間9日、日付は以下同)。ニューヨーク・ニックスのデリック・ローズが『Stadium』のシャムズ・シャラニア記者とのインタビューに応じた。

 ニックスに在籍するローズは34歳のベテランガード。現在チームは「NBAプレーオフ2023」のイースタン・カンファレンス・セミファイナルでマイアミ・ヒートと対戦しており、1勝3敗で追い込まれて11日に迎えた第5戦を112−103で制して2勝3敗とし、13日に敵地でシリーズ第6戦を迎える。

 チーム最年長で、ロスターで最も長いNBAキャリア13年を誇るガードではあるものの、今シーズンは27試合のみの出場で平均12.5分5.6得点1.5リバウンド1.7アシストと出番が限定されており、プレーオフではクリーブランド・キャバリアーズとのファーストラウンド第3戦で2分30秒の出場のみで、ヒートとのシリーズはコートへ立てていない。

 とはいえ、ローズはジェイレン・ブランソン(26歳)、ミッチェル・ロビンソンとオビ・トッピン、アイザイア・ハーテンスタイン(いずれも25歳)、クエンティン・グライムズとイマニュエル・クイックリー(いずれも23歳)、RJ・バレット(22歳)といった若手選手を複数抱えるチームで、彼らを支えるベテランのリーダーとしての役割をこなしている。

 そうしたなか、シャラニア記者からNBA入りから最初の8シーズン(実働7シーズン)在籍したシカゴ・ブルズで永久欠番入りする可能性について聞かれ、「そんなこと考えたこともなかったけど、そのアイデアは最高だね」と切り返していた。

 イリノイ州シカゴで生まれ、高校時代までを過ごしたローズは、2008年のドラフト1巡目全体1位でブルズから指名されると、2008−09シーズンに平均16.8得点3.9リバウンド6.3アシストを残して新人王を獲得。

 キャリア3年目となった2010−11シーズンには平均25.0得点4.1リバウンド7.7アシストを残し、リーグベストの62勝20敗へ導いたことでMVPにも選ばれた。

「人の旅路がどうなるかなんて誰にも分からない。ママでさえ、僕のことを信じていなかったんじゃないかな」とインタビューで口にしていたローズは、ブルズ在籍時にオールスターへ3度選ばれており、MVPを受賞した2010−11シーズンにはオールNBAファーストチームにも名を連ねた。

 だが20代中盤から相次ぐヒザのケガに見舞われたことでシーズン全休や長期離脱を経験。トレードやウェイブ(保有権の放棄)も味わってきた。それでも、ケガを乗り越えて復活を飾り、現在はキャリア14年目をプレーしている。

 ローズは抜群のスピードとクイックネス、切れ味鋭いボールハンドリングとディレクションチェンジ、クロスオーバードリブルなどを駆使してリングへアタックし、強烈なダンクを何度もたたき込んできたのだが、ヒザのケガを何度も経て技巧派の選手へ転身し、新たなキャリアを構築してきた。

 実働7シーズンで球団史上10位の平均19.7得点を残してきたローズの背番号1が、現時点でブルズの永久欠番入りするかは分からない。ただ、ブルズというフランチャイズでMVPを獲得した選手はMJことマイケル・ジョーダン(元ブルズほか/5度)とこのローズのみということから、その可能性はあるはずだ。

 ブルズでプレーしてきた選手たちのうち、永久欠番になっているのはジェリー・スローン(4番)、ボブ・ラブ(10番)、ジョーダン(23番)、スコッティ・ピペン(33番)の4選手のみ。このリストに加わることになれば、ローズとしても光栄なことだろう。

 もっとも、ローズは今もなお現役でプレーしているため「ジャージーセレモニーのことは考えていない。(実現したら)なんて言おうか考えておくよ」と話していた。

 デリック・ローズという選手がいつか現役を引退し、ユニフォームを脱ぐ日になったら、いったいどんな言葉でキャリアを祝福されるのだろうか。おそらく世界中のバスケットボールファンから感謝されるに違いない。だがその日が訪れるのはまだまだ先のことになりそうだ。

【動画】ローズがブルズ時代に魅せてきたトップ10プレー集はこちら!