◆セルティックスとのシリーズでは中盤まで活躍も終盤に失速
ロケッツ、サンズが候補に挙がるなか、本人が求める“条件”とは?

 5月15日(現地時間14日、日付は以下同)。フィラデルフィア・セブンティシクサーズはボストン・セルティックスとの「NBAプレーオフ2023」イースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦を88−112で落としたことで、3勝4敗でシリーズ敗退となり、今シーズンを終えた。

 このシリーズで、シクサーズはジェームズ・ハーデンが45得点の大暴れを見せて第1戦を敵地でモノにし、第5戦もアウェーゲームを制したことで3勝2敗と王手をかけたものの、そこから2連敗を喫した。これでチームは3年連続のカンファレンス・セミファイナル敗退。ここ6年間で5度もカンファレンス・セミファイナルまで勝ち上がったものの、その壁を突破することはできず。チームは17日に3シーズン指揮を執ってきたドック・リバースHC(ヘッドコーチ)と決別したことを発表。

 シクサーズは今シーズンのMVPジョエル・エンビードを筆頭に、タイリース・マクシー、トバイアス・ハリス、PJ・タッカー、ディアンソニー・メルトンといった主力選手たちが来シーズンも契約下にいるのだが、ハーデンはプレーヤーオプションのため、これを破棄すれば今夏に制限なしフリーエージェント(FA)へなることができる。

 すると18日に『Bleacher Report』のクリス・ヘインズ記者は、ハーデンが来シーズンの契約を破棄し、複数年契約を求めて制限なしFAになるだろうと報じた。

 シクサーズ在籍2年目の今シーズン。ハーデンは平均21.0得点6.1リバウンド1.2スティールにリーグトップの10.7アシストをマーク。プレーオフでは11試合の出場で平均20.3得点6.2リバウンド8.3アシスト1.8スティールを記録。

 2009−10シーズンにNBAデビュー後、ハーデンはオクラホマシティ・サンダー、ヒューストン・ロケッツ、ブルックリン・ネッツ、シクサーズへ所属してきたものの、キャリア14年すべてでプレーオフに出場してきた。

 セルティックスとのシリーズでは初戦で45得点6アシスト2スティール、第4戦でも延長終盤のコーナースリー成功を含む42得点8リバウンド9アシスト4スティールと活躍。

 だが第6戦ではフィールドゴール成功率25.0パーセント(4/16)の計13得点に7リバウンド9アシスト3スティール、第7戦ではフィールドゴール成功率27.3パーセント(3/11)の計9得点に6リバウンド7アシスト2スティールと、シュートタッチに苦しんだ。

 33歳のハーデンは、約9シーズン在籍したロケッツ復帰の可能性があると報じられており、ロケッツ側もハーデンが復帰すると見ている。ただし、セルティックスとのシリーズ終了後、ハーデンは「まだ考えてもいない。俺はただ、(優勝を)競い合えるチャンスが欲しいだけ」と話していたことから、低迷中のロケッツへ今夏に復帰することがその答えになるとは思えない。

 その一方で、『SiriusXM NBA Radio』のホスト役を務めるブライアン・ゲルトザイラー氏によると、今年2月に超大型トレードでケビン・デュラントを獲得したフェニックス・サンズも視野に入っているという。

 ただ、サンズはデュラントに加えてデビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトン、クリス・ポールが来シーズンいずれも3000万ドル(約41億1000万円)以上の超高額年俸となっている。そのうち、ポールは6月29日までにウェイブ(保有権を放棄)すれば約半分の保証になるのだが、ヘインズ記者はサンズがポールの来シーズンの年俸を全額保証することになると報じていた。

 そのため、もしハーデンがサンズ入りを本気で狙っているのであれば、来シーズンの契約を行使し、シクサーズから大型トレードで移籍というケースになるのだが、現状でサンズはポールを来シーズンも先発ポイントガードとして見ていることから、その可能性は低いと言わざるを得ない。

 ヘインズ記者が情報筋から得たものとして、ハーデンは競争力のあるロスターが整っていて、彼自身がより自由にバスケットボールをプレーできるチームだけを求めていると報じていることから、今夏にこの男がどんな決断を下すのかはこの先も注目を浴びることになりそうだ。

【動画】セルティックスとのシリーズ第4戦で42得点を奪ったハーデンのハイライト!