「ミーティングでは戦術的な確認もしましたが、それを踏まえた上で形がどうこうよりも思い切ってやることが大事だと選手たちに伝えていました。そういった意味で渡邉伶音(2年)や榎木璃旺(1年)が得意なプレーから入ってくれた。受け身にならずに自分たちから攻める気持ちを持って試合に入ることができたので良かったと思います」

 福岡第一高校との頂上決戦を制した福岡大学附属大濠高校の片峯聡太コーチは、このように試合を振り返った。

 11月3日、「ウインターカップ2023 高校バスケットボール福岡県大会」は最終日を迎え、アクシオン福岡では男女の決勝リーグ最終戦が行われた。この日の最終試合は、ともに決勝リーグで2勝を挙げている福大大濠と福岡第一との一戦。今年の福岡県のウインターカップ出場枠は2つのため、すでに両チームとも冬の全国行きは決めているが、勝てば優勝となる試合は、今年も白熱した展開となった。

 試合は、出だしに渡邉、榎木の3ポイントシュートが決まった福大大濠が先行。その後も広瀬孝一(3年)や岩下愛育(3年)、髙田将吾(2年)らで点を重ねていく。対する福岡第一は、八田滉仁(2年)や高口陽季(3年)らが奮起するも点差は縮まらず。「相手がやってくることに対して、ハードワークするところと賢くスマートに動くところを選手たちが使い分けることができていた」(片峯コーチ)と、ディフェンスでも冴えを見せた福大大濠は前半終えて14点のリードを奪うと、後半も試合を優位に進めて79ー61で勝利。同大会では6年ぶりの優勝を飾った。

 今年の夏は福岡第一に県予選で敗れてインターハイ出場はならなかった福大大濠。そのインターハイ予選の敗戦直後には、「ボールに対して頭から突っ込んで取りに行くぐらいの気迫がなかったのが悔しいし残念です」と片峯コーチは言い、夏の間はルーズボールの意識を高めたいとも語っていた。

 迎えた今回の試合では、たとえボールを取りきれなくても、果敢にルーズボールに飛び込むなど、気持ちを前面に出した選手たち。「ルーズボール、リバウンドは練習中から意識して、私も選手もしのぎ合い、削り合いながらやってきました」と、取り組みの成果には指揮官も一定の手応えを感じたよう。だが、「まだまだ勝ちきれている段階にはない。負けてはいないけれど、自分たちが優ったかといったらそうではないと思います。そこは日々の習慣だと思うので、水準を低くすることなく(ウインターカップ)本戦に臨めたらと思っています」と言い、冬に向けてさらなるレベルアップを誓っていた。

 一方、敗れた福岡第一は、9月末の「U18日清食品トップリーグ2023」(対福大大濠)にてエースの崎濱秀斗(3年)が足を骨折。今大会も崎濱を欠いての試合となったが、その他にも「10月はケガや病気などがあり、(主力が)全員そろって練習をやり込めてない」(井手口孝コーチ)状況ではあった。そういったことも影響してか、試合では「オフェンスにしろディフェンスにしろ腰が引けたような感じ。体力的ものなのか、例えばディフェンスだったらファウルが怖くてなのか、非常に受け身になっていました」と、井手口コーチは言う。そして「今日は大濠さんがやることを決めてそれをしっかりやっていたし、チームとしての出来が良かったですね」と、相手を称えていた。

「受け身になることなく」(片峯コーチ)
「受け身になっていた」(井手口コーチ)

 奇しくも同じ言葉で試合を表現した両コーチ。だが、ここで終わりではないことはどちらも承知だ。ともに見据える先は12月末のウインターカップ。「11月は個を鍛えていきたい」とは、福岡第一の井手口コーチ。崎濱と2月に足を負傷し長期離脱中のアピア・パトリック眞の復帰の目処が立つのは12月近くなってからと予想され、復帰か否かもわからない状況ではある。だが、準優勝に終わった昨冬やベスト4に留まった今年のインターハイなど、さまざまなリベンジも含め、福岡第一はチーム一丸で冬の王座を狙いにいく。

 また、「このチームに足りないのはあとは自信だと思っていたので、大きな舞台で(自信を)得ることができたこと、また福岡で1位になることはすごく意味のあることだと思います」(片峯コーチ)という福大大濠も、「これに満足することなくあと1カ月半、ケガなくこのメンバーで戦えるようにやっていきたいです」と、勝って兜の尾を締める。

 どちらも優勝候補の一角として臨むウインターカップ。次は全国のライバルたちとの決戦に向け、さらにギアを上げていく。

取材・文=田島早苗