29日、東京都・新木場1stRINGにて天龍プロジェクト『SURVIVE THE REVOLUTION VOL.10』が開催され、佐藤光留&矢野啓太が第20代IJタッグ王座を戴冠した。

 天龍プロジェクトは、天龍源一郎の個人事務所及びプロレス団体であり、2015年に天龍が引退を迎えてからはプロレス団体としての活動を休止していた。しかし、昨年11月の天龍の引退5周年記念大会の開催を機に精力的な活動を再開し、今年4月から月に2回のペースで定期的な大会開催を実現。WAR時代に創設され、天プロとともに復活したインターナショナルジュニアヘビー級王座(IJ王座)、インターナショナルジュニアタッグ王座(IJタッグ王座)の争奪戦を軸に展開している。
 IJタッグ王座はDRAGON GATEのオープン・ザ・ツインゲート統一タッグ王座の一部となっておりしばらく重複した形になっていたが、両団体の協議の末に9月20日より正式に分離。一部ファンが指摘していた懸念事項が解消された。

 この日のセミファイナルでは、“ハッとしてgood”新井健一郎&翔太vs佐藤光留&矢野啓太のIJタッグ王座戦が実施。
 挑戦者組の光留と矢野は、“パンクラスをこじらせた佐藤光留”vs“バトラーツをこじらせた矢野啓太”という対立構図で幾度も死闘を展開してきた間柄。先月13日の一騎打ちは両者失神するまで続く壮絶なヘッドバッド合戦を見せ、同月25日の再戦では一転して互いに1発たりとも打撃技を繰り出さない濃厚なグラップリング戦を展開するといった互いの限界を突き詰め合う闘いを見せ、試合後にはしっかり握手を交わして絆を確認。

 この2人の試合を大絶賛していた天龍は、今月25日のガンバレ☆プロレス後楽園ホール大会でアラケン&翔太がIJタッグ王座V2を果たした直後にバックステージでコメントを出しているアラケンに電話し、光留&矢野とのタイトルマッチを4日後にオファーするという無茶振りを敢行。
 この真意について天龍は「佐藤光留と矢野啓太と、1回やって欲しいという希望がムクムクと湧き上がってきた。そこで唐突だけど代表に無理言って叶えてもらったタイトルマッチです。だからこのタイトルマッチは王者の意志も挑戦者の意志とも、まるで関係ないんだよ」とニヤリと笑いながら語っていた。

 試合は序盤から挑戦者が圧倒的に有利な局面を作って進めていくが、矢野がタッチを求めた際に光留が顔面にビンタを見舞って拒否しつつも「いつもの矢野啓太で行け!」と鼓舞するなど仲が良いのか悪いのか分からないタッグワークを見せる。
 打撃とサブミッションを得意とする2人によって翔太は左腕を徹底的に破壊され、あわやギブアップという場面が幾度もあったが、アラケンが対戦相手やレフェリーを欺くインサイドワークで暗躍。翔太のピンチをダブルアックスハンドルで救出し、ダブル攻撃を狙う2人をまとめてフェイスクラッシャーで叩きつける熟練の技を見せる。
 満を持してフロッグスプラッシュを投下した翔太だったが、腕のダメージから追撃に行けず。孤軍奮闘するアラケンは2人を相手にヘッドバッドで突っ張る意地を見せるが、最後は矢野が足取り式ゆりかもめでアラケンからギブアップを奪った。
 試合後、矢野は感極まって涙し、光留としっかり握手を交わしながら2人でベルトと認定証を掲げた。

 バックステージに戻った矢野が「今のこの世の中、世界全体を第20代IJタッグ王者の俺たちで変えていくんだ」と語ると、光留は「『プロレスで何が変わる?』と思ってるでしょ、みんな。プロレスは世間を写す鏡なんだ。プロレスが変われば世間は変わるんだよ。パンクラスが変えたじゃないか!バトラーツが変えたじゃないか!じゃあ、パンクラスに認められなかった佐藤光留と、バトラーツに認められなかった矢野啓太が変えてやるさ」と呼応。
 防衛戦について聞かれ、光留が「こじらせてる奴全員成敗してやるぜ!」と宣言すると、矢野は「こじらせて無い奴もね。マトモな奴なんていないよ。みんな辞めてカタギやってるよ」とさみしげに笑った。

 その後、光留はメインイベントを終えた現IJ王者・拳剛の前に現れ「さっき天龍さんに『挑戦していいっすか』って聞いたら『いいよ』って言われたんだよ」と挑戦表明。拳剛は「メチャクチャ尊敬してる光留選手から挑戦表明してくれてメチャクチャ嬉しいです。やりましょう」と受諾。次回大会でのIJ王座戦が決定的となった。

 なお、天龍はこの試合を「近未来のプロレス」と評し、「見た目は悪いけど値段の高いイクラみたいなもの」と独特な表現で絶賛した。
 新生・天龍プロジェクトに無くてはならない存在となっている光留と矢野が今後どのような活躍を見せていくのか、これからも注目していきたい。