ノルウェー当局は、ノルウェー海で30年前に沈没したロシアの原子力潜水艦の残骸付近で採取した海水から、通常より80万倍も高いレベルの放射線が検出されたと明らかにした。

当局は、付近に魚などはほとんど生息しておらず、放射線は北極海の海水によって素早く薄まることから、「警戒が必要なレベルではない」としている。

原子力魚雷を積載

ノルウェー海では1989年、旧ソビエト連邦海軍の原子力潜水艦「コムソモレツ」で火災が発生し、乗組員42人が死亡する事故が起きた。艦体はノルウェー海の深さ1680メートルの海底に沈んでいる。

ロシアで「K-278」としても知られているこの潜水艦は、プルトニウムの核弾頭を搭載した2基の原子力魚雷を積んでいたことがわかっている。


ノルウェーの原子力規制当局は、コムソモレツの加圧水型原子炉は事故直後から、艦体に閉じ込めらた状態になっているとしている。

事故以来、ノルウェーとロシアの当局は定期的に、放射線レベルを測定している。共同で測定に当たることもある。

80万倍の放射線

ノルウェー当局は7日、初めて無人潜水機(ROV)を使った調査を実施。コムソモレツ(全長117メートル)の現状を撮影するとともに、付近の海水を採取した。

その海水の放射線レベルを分析したところ、1リットル当たり800ベクレルが検出された。これは、ノルウェー海の海水の通常(1リットル当たり約0.001ベクレル)の約80万倍になる。

原因となっている放射線は、原子炉付近のパイプから主に出ているとみられている。艦体のその他の部分で採取された海水からは、高濃度の放射線は検出されなかったという。

今回の調査を率いたヒルデ・エリス・ヘルダル氏は、「ロシアが1990年代と、もっと最近では2007年に確認した漏出の記録をもとに、私たちは特定のダクトパイプの中から海水を採取した。だから、高いレベルが検出されても驚きはなかった」と説明。

「検出したレベルは通常の海水より明らかに高かったが、警戒が必要なほど高くはなかった」と述べた。

今月も原子力潜水艇で火災

コムソモレツについては、ロシアも以前、有人潜水機を使って調査を実施。今回と同じパイプ部分から放射線が漏れ出ているのを確認していた。

今回のノルウェーの調査には、ロシアの当局者も加わった。

今月初めには北極海のバレンツ海で、ロシアの原子力潜水艇で火災が発生し、乗組員14人が死亡する事故が起きている。