シュナイダーエレクトリックは9月19日、20日の2日間、シンガポールでエッジコンピューティングをテーマとしたメディア向けイベント「Life at the Edge」を開催した。同社は今年1月に、「APC」ブランドのUPS(無停電電源装置)をはじめとする電源関連ソリューションや、デジタル技術を活用したエネルギー管理ソリューションなどを展開してきた旧「IT事業部」を「セキュアパワー事業部」に名称変更。同事業部における注力分野として、現在、エッジコンピューティングに力を入れている。今回のイベントでは、アジア太平洋などの地域のメディア向けに、同社のエッジコンピューティングの取り組みを紹介。市場の動向から同社が提供する技術・ソリューション、パートナー戦略まで幅広く解説し、エッジコンピューティングへの本気度をうかがわせた。(取材・文/前田幸慧)

 シュナイダーエレクトリックは、エッジコンピューティングビジネスの中核商材として、ビルディング、データセンター、工場・プラント、電力グリッドの4分野向けに、エッジデバイス、それを制御するエッジコントロール、アプリケーション・アナリティクスの3層から成るIoTプラットフォーム「EcoStruxure」を用意している。中でもクラウドベースのデータセンターインフラ管理製品「EcoStruxure IT」は、データセンターのファシリティーを統合管理し、またリモート監視や拡張性などでメリットがあるという。
 セキュアパワー部門のジム・シモネリ エマージングビジネス担当シニアバイスプレジデントは、同社のIoTプラットフォームについて、「われわれの環境はオープンなテクノロジーに基づいており、自社の機器以外も監視することができる」ことを特徴に挙げ、「インダストリーやビルディングなどとインテグレートすることで、IT/OTを見たい角度から同じツールでモニタリングすることができる」と話す。EcoStruxure ITではすでに2500社以上の顧客の18万5000のデバイスと接続しているという。また、クラウドベースのサブスクリプションで提供していることも特徴に挙げ、3カ月から半年ごとにアップデートがある中で、「新しいリリースをタイムリーに提供できる」ことが顧客から評価されているという。

●パートナーとのエコシステム構築を重視


 同社ではエッジコンピューティングに関して、コマーシャル(小売り、病院、金融、教育)、インダストリアル(石油・ガス、鉱業)、テルコ(中継塔、基地局)を主な産業と見ている。
 パートナービジネスを担当するナタリア・マカロキナ シニアバイスプレジデントによると、特に小売りや金融などですでに多数の顧客を獲得しているという。特に日本では「小売りが一番」だといい、「労働力が不足しているので自動化が求められていることから、エッジが重要とされている」と話す。
 また、マカロキナ シニアバイスプレジデントは、「パートナーエコシステムが、エッジとデジタルトランスフォーメーションの成功に不可欠」だとして、パートナーとのエコシステムの構築を重要視していると語る。IT/OTに関してはすでに世界16万5000社とパートナー網を形成しているが、ビジネスの拡大にあたっては、特にSIerや付加価値提供が可能なパートナーと共にビジネスを拡大していきたいと言う。コンフィギュレーションを支援するツールを提供しており、「お客様の全てのコンフィギュレーションをアライアンスパートナーの機器を含めて一元的に構築することが可能」だとして、それによりパートナーのエンジニアリングコストを削減したり、顧客にとっては可用性の向上やサービスコストを減らしたりといったメリットがあると語った。

●非IT環境向け、壁掛け可能な6Uマイクロデータセンター


 また、イベントでは10月に発表した新製品のマイクロデータセンター製品も紹介。新製品は、6Uサイズのきょう体に、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)、UPS、冷却装置などに加え、監視カメラや施錠などの物理セキュリティも備える。クラウドベースのリモート管理も利用できる。壁掛けや床置きが可能で、小売店舗など一般にIT機器を利用できるような環境を備えていない場所での利用を想定。製品の概要を説明したバグワディ・プラサド セキュアパワー部門ビジネスディベロップメント担当バイスプレジデントは、「世界最小の6Uのマイクロデータセンター」「一つの箱でエッジコンピューティングに必要なものを全てを提供することができる」とアピールした。