富士通は、ニューノーマル時代の製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)加速に向けたものづくりのソリューションとサービスを拡充し、11月からグローバルに順次提供を開始する。

 今回拡充するソリューションとサービスは、製造業の生産オペレーション効率化、製造設備の稼働状況可視化、設計・開発業務の高度化などを実現するもので、(1)製造業のDXを加速するためのサービス、ソリューション「COLMINA(コルミナ)」のサブスクリプションサービス、(2)シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの「Xcelerator」やアルテアエンジニアリング(米アルテア)の「Altair HyperWorks Unlimited Virtual Appliance」からなるリモート設計・開発を支援するソリューション、(3)ものづくりDXを加速するものづくり現場リモートエキスパートサービス、(4)グラフィックスを多用するアプリケーションをクラウド環境で利用可能にする「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA Design Review 高速リモートデスクトップ」(Design Review 高速リモートデスクトップ)の4つ。
 COLMINAサブスクリプションサービスでは、製造業向けにこれまでに提供してきたCOLMINAのソリューションをサブスクリプションサービスとしてグローバルに提供する。DUCNETが21年4月からサービス提供を開始する製造業のデジタル革新を加速するクラウドサービス「デジタルユーティリティクラウド」を活用し、生産オペレーション効率化や工作機械の効果的活用を実現する設備稼働の可視化、工場ダッシュボード、生産性・品質の分析テンプレート群などを同社サービスとして提供する。従来、製造業各社が個々に構築しているものづくり業務システムをサブスクリプションサービスとして提供することで、様々な業務システムを早期に初期投資を抑えて利用することができ、社内業務の効率化、顧客サービスの高度化、さらにはDXの加速に貢献する。21年4月から工作機械業界向けに展開し、その後順次自動車や機械・エレクトロニクス市場へ拡大していく。
 ニューノーマルの製品開発を支援するリモート設計・開発ソリューションとして提供するXceleratorは、異なる場所やデスクトップ環境にいるエンジニアのチームが、クラウド上でCADも含めた設計業務を共同で進めることができる、プロジェクトコラボレーションサービスなどのソリューション群。同製品の提供により、新型コロナウイルスの影響によって従業員がテレワークで別々の場所に分散して作業するなど、設計開発環境の変化にも柔軟に対応したセキュアなリモート製品開発を支援するとともに、円滑なコラボレーションを可能にし、従来の製品開発環境と同等以上の製品品質を実現する。21年3月から国内提供を開始し、21年中に欧州や北米などグローバルで提供する予定。
 Altair HyperWorks Unlimited Virtual Applianceは、製品開発に必要なCAEや構造シミュレーションといった様々な解析を行うためのソフトウェア群と、その計算を行うためのクラウド環境がセットになったSaaS型CAEソフトウェアサービス。必要な時に必要な実行時間や解析スペックを素早く組み合わせて利用することができる。リモートワークでのデジタル製品の開発や、事業継続に向けた突発的な品質検証などが行えるようになり、製品開発リードタイムの短縮、製品品質の向上を図ることが可能となる。CAE未導入の顧客でも、同社のPLM(Product Lifecycle Management)製品群とCAE技術サポートと組み合わせることで、ものづくりプロセスでのCAEを早期に実践していくことができる。同社では、21年3月から国内での提供を開始し、21年中に欧州や北米などグローバルで提供する予定。
 ものづくり現場リモートエキスパートサービスでは、同社のものづくり現場で培った実践的技術・知見をもつエキスパートによる設計・製造現場改善やものづくりDX実現をサポートするサービスを、富士通研究所が開発するストレスのない同時双方向遠隔コラボレーション技術「Izumina」を活用し、リモートサービスとして提供する。これにより、地理的な制約を受けることなく、実践経験豊富なエキスパートが生産状況の数値データや現場動画などのリアルタイム情報とICT技術を活用して、作業内容や順序の見直しによる作業効率化や工程やレイアウトの見直しによる在庫削減・省スペース化など、顧客の生産性向上やコストダウンを支援する。21年1月から国内での提供を開始し、21年中にドイツや北米などの欧米をはじめとしたグローバルで提供する予定。
 Design Review 高速リモートデスクトップは、ニューノーマル時代の設計者リモートワーク用仮想デスクトップソフトウェア。4K解像度で45fpsを実現し、3DCAD、CAE、映像やコンピューターグラフィック編集などの高画質領域でのスムーズな操作ができるため、専用ワークステーションは必要ない。事務用のノートパソコンなどでも描画遅延のストレスを感じることなく、遠隔地からでも自席での業務と同じように作業することが可能となる。また、富士通研究所が開発した技術「RVEC」を利用し、描画するための通信データを従来比2分の1に圧縮。低速回線でもより高精度でなめらかな画像転送で、従来と同等の描画が可能になる画面コラボレーション機能によって、設計者・工場間等の複数拠点が参加するデザインレビューも円滑に行うことができ、スピーディーなものづくりを実現する。11月末に国内での提供を開始し、21年中にドイツや米国など欧米をはじめとしたグローバルで提供する予定。
 同社は今後、これらとCOLMINAの既存ソリューションとを強力に連携し、設計から生産までのグローバルサプライチェーン全体の情報をつなげることで、柔軟性を備えたバリューチェーン再構築、ものづくりをサイバー空間で再現するCPS(Cyber Physical System)を活用した競争力強化、多様なコラボレーションによるイノベーション創出など、ものづくり業務でのDX加速を支援していく。
 税別価格は、COLMINAサブスクリプションサービスが月額15万円から、Xceleratorが未定、Altair HyperWorks Unlimited Virtual Applianceが85万円から(500ノード時間/2カ月)、ものづくり現場リモートエキスパートサービスが300万円から、Design Review 高速リモートデスクトップが月額1万8000円から。
 同社では、25年度までに、COLMINAサブスクリプションサービスとニューノーマルに向けたものづくりソリューションビジネスで500億円の売り上げを目標としている。