ジェイズ・コミュニケーションは2020年12月8日、オンラインセミナー「J's DAY 2020」を開催した。創業25周年という同社にとって一つの節目を迎えた昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的にも大きな転換点となっている。そうした環境変化の中で行ってきたビジネスのアップデートや注力製品・ソリューションについて紹介した。

 冒頭に登壇したジェイズ・コミュニケーションの天野信之副社長は、2020年のアップデートについて説明した。
 その一つとして、東京本社に構えたコラボレーションエリアを紹介。フリーアドレスを取り入れた社員の業務エリアであるとともに、顧客やパートナーを招いてさまざまなプロダクトのハンズオントレーニングやプレゼンテーションが実施できるエリアであるなど、顧客やパートナーとの「コラボレーションを促進する場」として利用できるという。
 また、新たなソリューションとして、ジュニパーネットワークスが提供するAIを搭載したクラウド管理型Wi-Fiの「Mist」や、独自のコンテナ技術を用いたセキュアなテレワークソリューション「RevoWorks Desktop」の販売を開始した。さらに、今年初旬には独自開発したクラウドサービス「Decision Support Systems」のリリースを予定。これについて天野副社長は、勤怠シフトの最適化や倉庫の需要予測など「AIを使ってさまざまな情報を分析し、意思決定をサポートする」ものだと説明。「今まで当社はどちらかというとセキュリティネットワークソリューションを提供してきたが、世の中のデジタルシフトに合わせてAIに関連したソリューションの提供を強化し始めている」と語った。
 続いて行われた基調講演では、EAGLYS(イーグリス)の今林広樹社長が「AI・ビッグデータ時代のデータセキュリティ」をテーマに論じた。
 同社は「秘密計算」と呼ばれる、データを暗号化したまま計算できる技術の研究開発を行っている。従来の技術ではデータの通信・保管時には暗号化されていても、活用時にはデータを復号する必要があった。秘密計算ではデータを暗号化し保護された状態のまま分析を行うため、データの不正利用や情報漏えいといったセキュリティリスクを低減することができる。
 こうしたことから今林社長は、秘密計算は「DXを進めていく上でも重要なデータ活用の課題を解決していくための要素技術と言われている」と説明。業界や組織を越えて、秘匿化されたまま機密データの連携や分析が実現できるため、「特にスマートシティやMaaSなど、いろいろなものがコネクトしデータが流通していく時代の基盤になっていくのではないか」と話す。
 今林社長によると、秘密計算技術は国から重要な技術として捉えられており、民間においても近年コンソーシアムが立ち上がるなど、「要素技術の発展が企業、業界をまたいで進んでいる」という。講演の最後には、「今後、これをもとに新たなデータビジネスが多く創出されていくのではないか」と期待を示した。

●セキュリティも担保できる
テレワークソリューション


 基調講演の後には、ジェイズ・コミュニケーションのマーケティング戦略本部マーケティングコミュニケーション部の正木亮氏が、昨年提供を開始したクラウド管理型Wi-FiのMistについて紹介した。
 Mistでは、ユーザーのWi-Fi環境をAIが解析して、接続時間やスループットといった7項目でユーザー体験を数値化して可視化する。これにより目標値に対してのギャップがわかり、提供されているサービスの品質が正しく評価できるようになる。また潜在的なトラブルの予兆を事前に検知することで「プロアクティブな運用ができる」と話す。
 MistにはAIアシスタント「Marvis」が搭載され、「自然言語で問い合わせると答えを返してくれる」という。例えばダッシュボードの入力窓に「unhappy users」と入力すると、不便な状況にあるユーザーのリストを表示して、それぞれの利用状況についてレポートするとともに、推定されるトラブルの原因などをアドバイスしてくれる。こうした機能によって「AIを活用して手を使わずに一次解析を行うことで、労働集約的なITチームから脱却できる」とする。
 さらに、仮想ビーコン機能を搭載し、これを使って位置情報の活用が可能。「3密」の検知や行動履歴の追跡、濃厚接触者の特定などもできるという。Mistは同社のコラボレーションエリアで検証が可能になっているといい、「ぜひオフィスにお立ち寄りいただき実際に体感してほしい」と語った。
 続いて登壇したマーケティングコミュニケーション部の太田博士部長は、同社が提供するテレワークソリューションについて紹介した。
 まず太田部長は同社が提供するテレワークソリューションについて、大きくVPNとリモートデスクトップ(画面転送)の二つがあると説明。具体的には、VPNではMistやCloudflare(クラウドフレア)、Pulse Secure(パルスセキュア)、リモートデスクトップではSplashtop(スプラッシュトップ)などを提供しているという。
 太田部長は、VPNは基本的には普段使っている端末を直接つなぐため導入しやすいソリューションだと語る。リモートデスクトップは通信環境が必須だったり、リモート操作の際に本体の電源が付いていないといけないなど、利用には慣れが必要とする一方、「社内のPCをリモートで動かしているだけなので、テレワークによる情報漏えいやウイルス感染の影響を受けないという大きなメリットがある」と説明。その点、VPNでは、端末の盗難やウイルス感染のリスクを単一のシステムでは解消できないと指摘する。
 それぞれの方式でメリット・デメリットがある中、同社ではVPNとリモートデスクトップの「ハイブリッド型」製品として、自社開発のRevoWorks Desktopがあると説明。「クライアントPC側に仮想環境を作り、その仮想環境だけが社内につながるという形。VPNでありながら、仮想を使ったリモートデスクトップの形でもできるハイブリッド型のものになっている」と語った。
 このほか、セミナーではジェイズ・コミュニケーションからRevoWorks Desktopについて、特別講演としてNECから統合型ソリューション「Application Platform for SCVX」とメール無害化による標的型攻撃対策が紹介された。