日本IBMは6月10日、報道関係やITアナリストに向け、ハイブリッドクラウドとAIに関する戦略説明会をオンラインで開いた。伊藤昇・専務執行役員テクノロジー事業本部長はIBM Cloudに関し、AWSやMicrosoft Azureと比べて規模では劣るとしながらも「成長率は順調に推移している」と手応えを示した。AIについては、企業のビジネスプロセスにおいて活用できる領域が数多くあると強調し、生産性向上やデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献していくとした。

 伊藤専務執行役員は、昨年4月にIBMのCEOに就任したアービンド・クリシュナ氏がハイブリッドクラウドプラットフォームとAIのテクノロジーで顧客の変革、社会の変革に寄与する姿勢を打ち出していると説明。ハイブリッドクラウドとAIの技術に、長年のサービスで培ってきた業種ごとの知見を重ね、「新しいIBMとして顧客に貢献していくことが私たちの目的、戦略だ」と述べた。
 説明会では、ハイブリッドクラウドとAIソリューションを「IBMクラウド」と「IBMシステムズ」「IBMソフトウェア」「エコパートナー」の4点に分類し、ここ1年ほどの進捗状況を紹介した。
 IBMソフトウェアではオープン化やコンテナ化、サブスクリプションへの対応を進めつつ、「自動化」「予測」「モダナイズ」「セキュリティ」を観点に顧客のデジタル化支援を進めている。IBMクラウドでは、IBM以外のクラウド基盤やオンプレミスでも「IBM Cloud」相当のコンテナ環境を利用できる分散型クラウドサービス「IBM Cloud Satellite」を推進するほか、金融や通信など規制が厳しく固有の要件がある業界向けの展開などに力を入れている。
 メインフレームやストレージなどが含まれるIBMシステムズについては、Red Hat OpenShiftを組み込んだ製品の強化に努めるとともに、従量課金の料金体系をそろえ、ハードウェア製品のクラウド的な提供を試行。エコパートナーをめぐっては、パートナーの有するソリューションとIBMのクラウドやソフトウェアを組み合わせる形での事業展開やサービサーとの連携に取り組んでいる。
 企業買収やアライアンスの状況も報告した。IBM全体でエコシステムの強化に注力しており、テクノロジー、サービスの二つの領域で過去1年で計18件に上るとした。
 最近の事業環境について伊藤専務執行役員は、顧客企業のDXを進めるスピードが加速したことで、顧客とベンダーの付き合い方に変化が生まれているとし「顧客のそばに寄り添い、“共創”していくことで支援に取り組む」と意欲をみせた。
 このほか、5月に開催された年次イベント「Think 2021」から、八つの新製品や新サービスを取り上げ、AIと自然言語で会話することで日常的な業務タスクを実行する「Watson Orchestrate」などを解説した。(藤岡 堯)