オリンパスは1月11日、4月1日付で副社長執行役員の竹内康雄氏が社長執行役員兼CEOに就任する人事を発表した。現社長の笹宏行氏は取締役になる。合わせて、医療分野で世界トップレベルのメディカル・テクノロジー(メドテック)企業を目指すための企業変革プラン「Transform Olympus」を発表し、同日に都内ホテルで記者会見を開催した。

 交代の目的と新社長の選任理由について現社長の笹氏は、「12年の就任時から7年間、信頼回復や体制強化に努めて、2年前から改革の仕上げとして(次の体制を)検討してきた。今年100周年を迎えるにあたり、新しいトップに経営をゆだねる。竹内は右腕として7年間、経営を支えた。医療、ライフサイエンスの経験や、また重要なのが職歴の半分を海外の経営に充てて、そこで培ったノウハウや実績がある」と語った。
 新社長に就任する竹内氏は、「変革プランを通じて相当のコスト削減を行い、持続的な成長が可能であると自信を持っている。まずは収益性を伸ばす。景気変動の影響を受けることのない筋肉質な経営体質を実現するため、営業利益率15%の達成を目指す。また、既存の医療事業の競争力を高め、整形外科など新規ビジネスも狙うために適材適所の人員配置や社外の優秀な人材を活用する」などと語った。
 Transform Olympusでは、企業のガバナンスや人事制度などを含む組織の抜本的な再編成を発表。同社が主戦場とする米国内視鏡治療市場で成長を実現するためのコスト削減も断行する。
 まず、グローバルでの迅速な意思決定や経営管理を一体化するために、5人の経営執行責任者を置く。CEOに竹内氏、COOに田口晶弘氏(現・専務執行役員)、CTOに小川治男氏(現・専務執行役員)、CFOに境康氏(現・常務執行役員)、CAO(Chief Administrative Officer=人事・IT・SCM・組織開発統括役員)にシュテファン・カウマン氏(現・執行役員)が就任する予定。
 また田口COOの直下に各事業部門の責任者を置き、それぞれの担当事業部門の売り上げと収益に明確な責任を負う体制を敷く。
 医療事業の再編成は「Transform Medical」と称して、現行の医療機関の担当科別に5つに分散している事業体制を、内視鏡事業と医療機器事業の2事業部門に集約する。ビジネスモデルの異なる2事業部門体制にすることで、機動的で効率的な事業運営を行い、メドテック業界での競争力を高めるとする。
 コスト削減策では、2020年3月期の研究開発費を含む販売管理費を18年3月期の水準まで圧縮する計画を4月1日から実施する。なお、19年3月期の販管費4380億円は変更しない。
 また、ビジネスのグローバル化に伴い、指名委員会等設置会社への移行と、新取締役候補者3人の選任を検討することも発表した。1人は最大株主であるヴァリューアクト・キャピタル・マネジメント社のパートナーを務めるロバート・ヘール氏を取締役に選任する予定を明らかにした。19年6月の定時株主総会で提案する。
 オリンパスは、19年3月期の第2四半期累計決算(4〜9月)で、主力の医療事業が業績をけん引し、売上高が3%の増収を確保したものの、証券訴訟の和解金や米国司法省の調査関連引当金、カメラなどの映像事業で中国生産子会社の操業停止に伴う費用や訴訟引当金などの損失約330億円が生じ、営業利益が30億円(前年同期比92%減)の大幅な減益と経営が悪化していた。
 こうした経営悪化の引責による社長交代なのかとの質問に対して笹社長は、「今回の企業改革プランはずいぶん前から検討してきたもの。準備周到に積み上げてきたので、まったく関係ない」と言い切った。