日本HPは1月21日、報道関係者向け事業説明会を開催した。岡隆史 代表取締役社 長執行役員は「2019年度(2018年11月〜2019年10月)、グローバルでの売り上げは6.4兆円と前年度比で2%成長を記録した」と報告。「前々年の10%に比べると成長率が鈍化した。ペーパーレスはじめとするプリンタ事業へのマイナス要因が影響した」と分析した。また、PC事業については「Windows10への移行の流れを受け、日本を筆頭に世界全般に堅調。日本HPも好調に推移。IDCの調べによると国内ブランド別で初めてNo.1シェアを獲得した。17期連続で市場平均を超える成長率を記録し、ブランド別の企業PCにおいても4期連続でNo.1を獲得した」と話した。

 HPでは、オフィスなどのプリンタ世界市場をおよそ17兆円、PCを36兆円として、従来型の市場規模を53兆円程度と見ている。岡社長は「この分野でもHPのシェアは12%程度しかないため、シェア拡大の要素はある」としながらも「市場自体の拡大期待は薄い」と話す。さらにペーパーレスはこの先も進むとの予測から「新しい成長分野を作ろうとしている」として「具体的には3Dプリンタに代表されるデジタルマニュファクチャリング、オンデマンドプリントを実現するデジタル印刷分野、セキュリティのサービス化などを事業のコアとして育てていく」と語った。
 新たな中核事業としては「商業・産業印刷のデジタル化、3Dプリンタによる製造業改革を狙う。現在マーケット全体で6兆円規模しかないが、今後市場は55兆円に成長することが期待できる」と話す。さらに「欧米に比べ、日本では印刷のデジタル化が遅れており、この分野は今後の期待が大きい」語った。出版社自体がHPの製品を導入し、小ロットの書籍を自ら印刷する事例も出始めているといい、徐々に印刷のデジタル化が広がりつつある。
 印刷の対象も紙だけでなくラベルや段ボール布に至るまで幅広く、マーケティングのデジタル化と相まって市場拡大への期待が大きい。昨年4月1日に新元号が発表された際、コカ・コーラの「令和」特別ラベルを即座に印刷、発表後1時間以内に新橋で配布するデモンストレーションを行ったことも紹介。デジタル印刷のポテンシャルを示した。3Dプリンタについても昨年度、大型の量産機を新たに市場投入するなど、補充部品の製造などを皮切りに、製造変革を後押ししていく方針を示した。(BCN・道越一郎)