毎年恒例となっている日経トレンディによる「ヒット商品ベスト30」。11月3日に発表された最新版では「AirPods Pro」が6位にランクインした。テレワーク需要による販売増や線路の落としものとして急増していることがニュースになるなど、年間を通して話題になった本機は10月30日で発売から丸1年を迎えた。全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」をもとに、販売動向を分析してみた。

 まず、AirPods Proが分類される完全ワイヤレスイヤホン市場の最新の状況を確認しておこう。2020年10月の市場全体の販売台数は前年同月比147.3%と高い水準にある。その中でAppleは常に35〜50%のシェアを握っており、市場をけん引する存在になっている。
 AirPodsシリーズは3モデルをラインアップしており、その中でもAirPods Proは最上位にあたる。アップル公式オンラインストアにおける価格は税別2万7800円。これはスタンダードな「AirPods with Charging Case」(税別1万7800円)より1万円高い。
 しかし、実はAirPods ProはAirPods with Charging Caseよりも売れている。発売月(19年10月)から20年10月までの販売台数シェアを月次で分析すると、20年2月以降は常にAirPods Proが上回っている状況だ。20年5月に32.6%を記録し、20年10月も22.2%の高シェアをキープしている。
 AirPods Proの最大の特徴はノイズキャンセリング機能を搭載していることだ。この機能を備えた完全ワイヤレスイヤホンはAirPods Pro以前にも存在したが、広く認知され、売れ筋になったのはAirPods Proの功績によるところが大きい。ソニーやボーズも同様の高付加価値の製品に注力しており、販売台数を伸ばしている。
 先月と今月の2回に分けて発売される「iPhone 12」シリーズがAirPodsの販売を引っ張っているということは現時点ではないようだが、これから先に起爆剤がないわけではない。iPhone 12シリーズはアップデートでワイヤレスリバースチャージ機能に対応するという噂があるからだ。
 ワイヤレスリバースチャージは、ワイヤレスチャージに対応するデバイスに、iPhoneをモバイルバッテリ代わりとして充電することができる機能だ。すでにAndroidスマートフォンでは対応しているものもあり、使ったことがあるという人もいるだろう。
 ワイヤレスチャージに対応しているAirPodsは、AirPods with Wireless Charging CaseとAirPods Proの2モデル。スタンダードのAirPods with Charging Caseは対応していない。もし本当にiPhone 12で新機能が使えるようになれば、上位モデルへの買い替えが促され、圧倒的なシェアがさらに盤石なものになるだろう。(BCN・大蔵 大輔)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。