埼玉県と県内対象地域9市町村が連携し、人口減少が進む地域への移住を促進するため、条件を全て満たすと支援金を支給する移住支援金制度(移住就業等支援金支給事業)の条件が緩和され、2021年4月1日以降に移住した場合に限り、従来の移住に伴い就業する人・起業する人に加え、移住後もテレワークで現在の仕事を続ける人、専門人材制度(プロフェッショナル人材事業等)を通して就業した人、「市町村から関係人口と認められた人」も対象となった。対象地域のうち、最も都心に近い埼玉県飯能市を中心に、同制度について紹介しよう。

 前提として、「東京23区在住または通勤」している人で「申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があること」が条件となる。移住先の対象の自治体は、秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町、東秩父村、神川町の9市町村。移住支援金は単身での移住の場合は60万円、世帯(世帯人員2人以上)の移住の場合は100万円だ。
 前述の通り、移住後もテレワークで現在の仕事を続ける人、市町村(秩父市除く)から「関係人口と認められた人」も対象に加わったので、条件クリアのハードルは低くなった。テレワークの定義は「対象市町村への転入から移住支援金の申請までの3カ月間に、勤務日の過半を所属先企業に通勤せずに移住先で業務にあたること」であり、既に週3日以上テレワーク(在宅勤務)で勤務しているなら問題なくクリアできる。
 要件の「東京23区在住または通勤」の詳細についてはサイト(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0106/sumunarasaitama/ijusienkinseido.html)の「移住支援金対象確認フローチャート」を見ていただきたいが、ずっと東京23区勤務ならおおむね条件を満たすはずだ。なお、移住支援金申請時に市町村による審査があり、各市町村の予算の範囲内での支給となるため、基本的に早い者勝ちといえるだろう。

●移住支援金利用時の移住先イチオシは都心に通える3市


 埼玉県の「移住支援金対象市町村」の紹介ページには秩父市、飯能市、本庄市の順に紹介されている。いずれも東京都心に通勤・通学が可能だからだ。
 このうち、飯能市の場合、「飯能市の移住体験ツアー又は“農のある暮らし”「飯能住まい」現地案内の参加経験を有し、当該制度を利用して移住する」「飯能市空き家バンク制度を利用して移住する」のどちらかともう一つの要件を満たすと、今年4月から加わった条件「関係人口」に認定され、支援金対象となる。
 ただし、“農のある暮らし”は農業に興味のない人にはおすすめできず、空き家バンクに登録済み物件は、必ずしも価格・立地面で魅力ある物件とは限らない。不動産情報サイトなどで自分で物件を見つけ、「移住後もテレワークで現在の仕事を続ける」と申請したほうがシンプルで満足度が高いと考えられる。
 面積が広いため、原則テレワーク、公共交通機関利用で週1〜2回出社が現実的に可能なエリアは、主要駅の飯能駅周辺、同駅から路線バス利用の美杉台ニュータウン、国道沿いにチェーン店が立ち並ぶJR東飯能駅周辺、元加治駅周辺に限られる。市民の憩いの場は「飯能河原」といわれており、ここに休日のたびに遊びに行くなら飯能駅周辺が最も便利だ。一方、認可保育園・認定こども園はJR東飯能駅周辺が最も多い。
 また、市内には、国内唯一のムーミンのテーマパーク「ムーミンバレーパーク」、SNSで夜間ライトアップが話題になった「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」があり、後者は入園無料だ。
 新型コロナ禍を受け、東京23区外への移住の意志があり、60万円または100万円もの支援金がもらえるなら移住してみたいと思うなら、まずは対象の埼玉県9市町村を訪れてみてはどうだろうか。本庄市のPayPayと自治体の連携キャンペーンは終了しているが、秩父市は5月31日までPayPayで支払うと最大20%戻ってくる「がんばれ秩父!最大20%戻ってくるキャンペーン(第4弾)」を実施中。飯能市は6月1日〜30日に、最大25%戻ってくるキャンペーン」を実施する予定だ。(BCN・嵯峨野 芙美)