経済産業省が事業者を対象にインターネット上で調査し、2021年6月に公表した「キャッシュレス決済 実態調査アンケート」によると、回答した事業者のキャッシュレス決済サービス(クレジットカード他)の導入率は72%で、業種別では飲食業、小売業、観光業が相対的に高かった。また、各決済手段の手数料率の分布をみると、PayPayなどが該当する「コード決済」は、キャンペーン実施により、足元では0%の割合が多かった。
 

 ソフトバンクなど3社が提供するPayPayは、年商10億円以下の加盟店を対象に、10月1日からこれまで無料としていた決済システム利用料を有料化する。初期導入費、月1回までの振込手数料は引き続き無料(もとも有料の場合は変わらず)。手数料率は取引金額の1.60%または1.98%(税別)。キャッシュレス決済業界最安水準となる1.60%は、PayPayアプリ上にストアページの作成などができる「PayPayマイストア ライトプラン」(1店舗あたり月額2178円)の契約時のみ。少ない店舗数で年商10億円以下の企業は有利だが、テイクアウト専門のような店舗数の多い年商10億円以下の企業は不利な設定となっている。
 システム利用料の発生にともない、PayPayでは街の店舗を応援する企画として、決済手数料・有料プランの費用負担を低減する「3%振り込みますキャンペーン」を実施する。申込期間中にPayPayマイストア ライトプランに加入した場合に、最大6カ月間、決済額の3%(1法人あたり上限100万円)を後日付与するもので、PayPayアプリのスーパーアプリ化に欠かせない「PayPayクーポン」を増やすための「マイストア ライトプラン」加入促進キャンペーンだろう。
 このPayPayの発表を受けて楽天ペイメントは、8月25日以降に「楽天ペイ(実店舗決済)」に新規加盟を申し込んだ年商10億円以下の企業を対象に、21年10月1日〜22年9月30日まで上限なしにコード決済の手数料を全額キャッシュバックする「中小店舗様応援!決済手数料実質0円キャンペーン」を実施すると発表した。また、売り上げの入金にあたり、楽天銀行以外では発生する振込手数料を、毎月1回自動入金した上で22年9月分まで実質0円(手数料と同額をキャッシュバック)とし、中小店舗のキャッシュレス決済導入を支援する。
 KDDIは、スマートフォン(スマホ)決済サービス「au PAY」の加盟店のうち、「店舗に提示されたQRコードを読み込む決済(ユーザースキャン方式)」導入店舗または「au PAY for BIZアプリ」利用店舗に対する決済手数料無料キャンペーンを1年延長する。当初の「21年9月末」から「22年9月末」までの期間延長以外、実施中のキャンペーンから条件の変更はなく、振込事務手数料も、現在は金融機関問わず無料となっている。
 本来の決済手数料は2.6%とやや高めだが、キャンペーン対象店舗は、もう1年間無料になる。今秋始まる主要スマホ決済サービスの加盟店向けキャンペーンとしては、実はau PAYが最も太っ腹だ。
 NTTドコモは、コードを読み取る方式の「d払い」を新規に導入する加盟店向けに、「『d払い』をはじめる街のお店を応援!手数料無料キャンペーン」を9月1日から22年3月31日まで実施する。9月1日以降、新たにd払いに対応する中小企業の店舗は、同キャンペーン対象だろう。この機にd払いを導入する店舗が増えるか注目だ。
 各種調査で利用率が最も高いといわれるPayPayが決済手数料を原則有料化する一方で、楽天ペイ、au PAY、d払いは、引き続き条件付きで決済手数料を無料で利用可能とする対抗策を打ち出した。本来は消費者が気にする必要はないが、ここまで情報がオープンになっている以上、知り得る限りで手数料の低いキャッシュレス決済サービスを選ぶことは店舗にとってプラスになるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)