一眼レフカメラの縮小が止まり始めた。販売金額前年比が100.3%を記録。丸1年ぶりにわずかながらプラスになった。販売台数は90.4%と依然前年割れのままだが、平均単価の上昇が販売金額を押しあげた。全国の家電量販店やカメラ専門店、ネットショップのPOSデータを集計するBCNランキングで明らかになった。

 今や販売台数、金額とも8割を占めるミラーレス一眼が主流になったレンズ交換型カメラ。一方の一眼レフは過去のものになりつつある。スマートフォンに押されカメラ市場の縮小が続いている只中、コロナ禍が一眼レフは終息のスピードを一層早めたともいえるだろう。販売前年比を見ると、台数、金額とも激しい前年割れが続いている。コロナ禍前の2019年5月の販売台数と金額をそれぞれ1とした指数は、コロナ禍に突入した2020年春に大きく落ち込み、4月には台数0.26、金額0.25と1年前の4分の1にまで落ち込んだ。
 しかし昨年3月〜5月にかけては、前年の反動と緊急事態宣言の解除などを受け、前年比は一時的に2桁増を記録した。結局、プラスで推移できたのはこの3カ月だけ。以降再び激しい前年割れが続くことになった。ところが、今年の2月をボトムに、指数は徐々に改善。5月は台数が0.26、金額は0.34とわずかだが持ち直してきたことで、金額が1年ぶりに前年を上回った。
 販売台数メーカーシェアでは、昨年春までキヤノンとニコンの拮抗状態が続いていた。しかし、この5月ではキヤノンの74.5%に対し、ニコンは21.4%と大きな差がついている。ニコンは昨春からエントリーモデルを中心に販売を次々と終了させたためだ。現在、ニコンの一眼レフはフルサイズモデルがフラグシップのD6に加え、D850、D780の3機種。APS-Cに至ってはD7500のみで、一眼レフはわずか4機種しかない。ニコンの販売前年比は昨年11月、台数が11.9%、金額が20.0%。つまり8割から9割減の大きなマイナスを記録した。ところが、この5月は台数59.5%、金額90.3%まで回復してきた。現行品の中では最も価格の安いD750の価格が下がり、販売が伸びているからだ。トップシェアのキヤノンは極端なラインアップの絞り込みはしていない。5月の前年比は台数108.6%、金額も107.5%で堅調だ。特に売れ筋のEOS Kiss X10は販売が伸びている。
 ニコンは、評判の良かったD500やDfなども販売を終わらせており、ミラーレスのZシリーズに賭ける意気込みが感じられる。これから一眼レフが逆転することはまず考えられない。正しい判断ともいえるだろう。つまり、一眼レフ市場の急速な縮小を主動したのはニコンだった、というわけだ。とはいえ、一眼レフのレンズ資産は豊富。光学ファインダーを好む層も一定数存在する。一眼レフ市場は今後、ニッチなカテゴリーとして細々と続いていくことになるだろう。(BCN・道越一郎)