交換レンズ市場が「コロナ明け」を迎えた。カメラ市場に先んじて回復の動きはあったが、この4月と5月は連続して販売本数・金額がそろって前年比増を維持している。特に5月は本数前年比で120.6%、金額で133.9%を記録。税抜き平均単価(以下同)も7万5000円前後まで上昇してきた。ここに来て本格的な回復期を迎えつつある。全国の家電量販店やカメラ専門店、ネットショップなどのPOSデータを集計するBCNランキングで明らかになった。

 交換レンズは、昨年5月も前年比で本数143.3%、金額で176.7%と大幅増を記録した。とはいえ、コロナ禍1年目の2020年に大きく落ち込んだ反動にすぎなかった。一方この5月は、昨年の大幅増をさらに大きく上回る本数と金額を記録。部材不足など生産上のマイナス要因は残るものの、交換レンズは、ようやくコロナ禍をくぐり抜けたと思われる。要因の一つとして、レンズ交換型カメラ本体の回復が挙げられる。レンズ交換型カメラの販売前年比はこの5月、台数で107.8%%、金額で118.9%と、こちらも1年ぶりにそろって前年を上回った。
 実は、カメラ本体よりもレンズの回復が早い。レンズは昨年11月に本数と金額が前年を上回って以来、金額に限っては継続して前年を上回り続けている。一方でカメラは、12月と1月に金額がわずかに前年を上回ったが、2月には再び大きな前年割れを記録。不安定な動きが続いていた。カメラとレンズの違いのひとつに、ミラーレス比率がある。カメラのミラーレス販売台数構成比は4月に80.4%、5月に77.4%と8割前後で推移。一方レンズは4月に75.3%、5月も75.9%とミラーレス比率がやや低い。つまり、カメラに比べ、レンズは一眼レフ用の製品がまだ売れている、ということだ。
 5月のレンズマウント別販売本数構成比TOP3では、ソニーのEマウントが32.0%でダントツ。続いてマイクロフォーサーズマウントで17.1%、3位がキヤノンのEFマウントで12.3%だった。3位に一眼レフ用マウントが登場していることからもわかる通り、一眼レフ用レンズが交換レンズ市場を底支えしているともいえる。伸びているのはミラーレス用で5月の前年比で本数142.0%、金額では152.6%と絶好調だ。一方一眼レフ用はこの3月の前年比は、本数58.7%、金額で69.8%と3割減から4割減の水準だった。しかし5月には本数81.9%、金額89.8%と前年割れながらも回復してきた。
 メーカー別のシェアもこのところ大きく変動している。5月のトップは16.1%のキヤノンだが、2位に15.8%とタムロンが僅差で迫っている。同じくレンズメーカーのシグマが14.1%で3位。若干シェアを落としてきたものの、ソニーが13.3%で4位、ニコンが12.5%で5位と続く。わずか4ポイント足らずで5社がひしめく大混戦。一時シェアを落としていたOMデジタルソリューションズも4月、5月と2桁シェアを回復しており、6社でシェアを取り合う様相だ。
 売れ筋の特長は、高価格モデルがランキング上位に来ていること。5月、販売本数1位はOMデジタルソリューションズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」(3万円台前半)、2位はキヤノンの「EF50mm F1.8 STM」(1万円台半ば)と、トップ2は比較的安めのモデル。しかし3位はシグマの「Art 85mm F1.4 DG DN ソニーE用」。高級レンズのArtシリーズで平均単価は9万円台前半。4位もタムロンの「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」でこちらも9万円台前半の製品だ。こうした高価格帯製品の好調も、レンズ市場の回復に寄与している。(BCN・道越一郎)