ビックカメラは8月29日、秋保徹 取締役専務執行役員 事業推進部門管掌 マーケティング本部長が代表取締役社長 社長執行役員に就任する人事を発表した。就任日は9月1日。木村一義社長が2年間で築いた改革の方向性を秋保新社長が引き継ぎ、実行スピードを高めてビックカメラ単体の収益力を回復させる狙い。

●店舗とECの両輪


 ビックカメラの木村一義代表取締役社長 社長執行役員は取締役に、川村仁志代表取締役副社長 副社長執行役員 内部統制部門管掌 内部統制本部長は、取締役 副社長執行役員 内部統制本部長に就任する。
 秋保新社長の経歴を見ると、2015〜19年のEC事業部長やEC事業本部長などEC領域に精通していることがわかる。17年12月にはビックカメラと楽天が共同出資して楽天ビックというショッピング会社を設立。翌18年4月にECサービスとしての楽天ビックをオープンさせた。立ち上げ1年で流通額を前年比70%増と大幅に飛躍させ、マーケットプレイスへの単独出店よりも楽天とのシナジーによる事業効率の高さを証明した。
 ただ、秋保氏の手腕はEC事業だけではないという。「もともと商品部でのバイヤー経験も長く、2020年にマーケティング本部長として店舗全般を統括するなど、商品と店舗、ECを担当。入社25年のうち10年間は役員の経験もあり社内外からの信頼も厚い」(ビックカメラ広報)。
 「“こだわり”の専門店の集合体」を企業理念に掲げるビックカメラは、店舗とECの両輪を回している。特にコロナ禍ではビックカメラに限らずEC事業に力を注ぐ企業が増えたが、店舗の役割をしっかりと見据えて事業を推進していくという。

●SPAの必要性を訴えた木村社長


 木村社長は20年9月1日付で社長に就任し、まる2年での交代になる。就任時はビックカメラにとって15年ぶりの社長交代となり、2期連続の減益が見込まれる中で「大きな構造転換の時期にきている」とし、突如襲われた新型コロナ禍でも改革を全面に打ち出した。
 特に、小売業にとって重要なのは「商品力」をつけて価格競争から脱却することだと唱えた。BCNのインタビューでも、「メーカーから仕入れたナショナルブランドの商品を売っているだけでは、競争する武器が価格しかありません」とし、SPA(製造小売)によるオリジナリティのある商品で収益力を高めていく必要性を強烈に訴えた。
 連結売上高は19年8月期をピークに減収となっているが、就任時の20年8月期の売上高営業利益率(連結)1.4%は、21年8月期は2.2%に回復。22年8月期は「収益認識に関する会計基準」により前年比較はできないが、通期の営業利益率は2.2%の見通し。
 改革のバトンは若き47歳の経営者に引き継がれる。(BCN・細田 立圭志)
■秋保 徹(あきほ・とおる)
1974年12月11日生まれ。1997年3月ビックカメラ入社、12年9月に執行役員第二商品部長、13年10月に執行役員商品部長、15年10月に執行役員EC事業部長、17年2月に常務執行役員EC事業本部長、18年4月に株式会社ビックカメラ楽天代表取締役社長、同年11月に取締役常務執行役員EC本部長、19年8月に取締役常務執行役員商品本部長兼EC本部長、20年9月に取締役専務執行役員事業推進部門管掌商品本部長、同年12月に取締役専務執行役員事業推進部門管掌マーケティング本部長(現職)