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 「VR・ARゴーグル」市場で、トップを走るMeta Platforms(Meta)が急ブレーキ。これまで8割前後あったシェアが2022年8月に4割程度まで急減した。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。

 BCNランキングの「VR・ARゴーグル」は、大きく分けて、通電型のタイプとスマートフォン(スマホ)を差し込んで使用するタイプの2種類がある。20年8月までは、通電型のMetaとスマホ差し込みタイプのエレコムが販売台数シェアで首位争いを繰り広げていた。しかし「Meta Quest2」(旧Oculus Quest2)の登場で形勢は一気に逆転。 Metaのシェアは発売前の予約分だけで61.6%にまで駆け上がり、エレコムを半年ぶりにかわしてトップに立った。発売直後の10月にはさらに86.7%まで上昇。2位以下を大きく引き離した。21年には、接顔パーツが肌荒れを引き起こすとの理由で製品を回収。旧モデルを終売にして一時的にシェアを落とした。しかし7月には改良版を発売。再びシェアを8割前後まで回復させ、22年も勢いが続いていた。潮目が変わるきっかけは値上げだ。Metaが8月1日に価格改定を発表。各モデルとも2万円以上の値上げということもあり、発表直後から駆け込み購入が相次いだ。8月に入ると、値上げの影響に加え駆け込み購入に伴う在庫不足と反動減が発生。その結果、8月のシェアは42.5%と、前月の75.6%から33.1ポイントもの急落を招いた。
 Metaの急ブレーキは市場全体にも大きな影響を与えた。19年8月の販売台数を100とした指数は「Meta Quest2」発売の20年10月に「398.9」と400近くまで急拡大。浮き沈みはあるものの、以降一度も100を下回らず、22年7月も「206.1」と2倍以上の規模を維持していた。しかし、8月は一転して「93.3」。3年前の水準を下回った。明らかにMetaの失速によるものだ。
 一方で、新興勢力が台頭しつつある。まだシェアは1割にも満たないが、スマートグラスを手掛けるNrealが22年8月に自己最高の7.9%を記録した。また「Meta Quest2」同様のスタンドアロン型の製品を発売しているPico Technologyも4.2%で4位につけている。どちらも中国に本拠地を置く企業だが、ガジェット好きなど耳の早いユーザーの間ではすでに話題だ。一方で、国内企業としてはいち早く本格的なVR機器を投入していたソニー・インタラクティブエンタテイメントは「PlayStation VR2(PSVR2)」を発表した。「Meta Quest2」登場以前の18年と19年、同社はBCNランキングで年間販売台数No.1を誇っていただけに巻き返しに期待したい。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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