ヤマダホールディングス(ヤマダHD)が5月8日に発表した2023年3月期通期の連結決算は、売上高が1兆6005億円(前期比1.2%減)、営業利益が440億円(同32.9%減)、経常利益が500億(同32.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が318億円(同37.0%減)の減収減益となった。減収減益は2期連続。

●従業員のコロナ感染で「販売機会ロス」


 減収減益の主な要因は、主力の「デンキ事業」で(1)前年度より継続している一過性の巣ごもり需要反動減、(2)従業員の新型コロナ感染による勤務時間減少に伴う販売機会ロス、(3)市場と連動したDX化による売り上げと利益の最適化に向けた改革途上に伴う粗利率の低下、(4)政策的なバランスシート改革の取り組みによる仕入抑制――の四つが影響したとする。これによる粗利高の減少に加え、前年度における新型コロナに関連する助成金収入減に伴う営業外収益の減少も響いた。
 なお、販売管理費はほぼ前年水準で推移。売り場面積5%拡大に向けた人員採用の増加策や、DX推進への先行投資費用、エネルギー価格の上昇などの影響はあったが、きめ細かく経費コントロールした成果だとする。
 デンキ事業における売上高は1兆3108億円(同2.1%減)、営業利益は318億円(同42.3%減)だった。主力商品別の売上高前期比では、テレビが同1.2%減だったのに対し、冷蔵庫(4.2%増)、洗濯機(0.6%増)、エアコン(3.9%増)と白物家電は好調だった。

●「住設事業」でヒノキヤグループが過去最高益で好調


 一方で「住設事業」の売上高は2723億円(同1.5%増)、営業利益は85億円(同16.5%増)の増収・増益となった。中でも業績がよかったのが、過去最高益をたたき出したヒノキヤグループだ。売上高1347億円(同10.0%増)、営業利益72億円(同16.4%増)の増収・増益となり、不調だったヤマダホームズの減収・減益をカバーする形になった。
 また、バス・キッチンなどの開発・製造を担うハウステックは、ウッドショックによる住宅資材不足や上海ロックダウンに伴う納期遅延があったが、グループのシナジー効果やリフォーム案件の増加などにより増収・増益となった。
 「金融事業」は売上高24億7800万円(同1.3%増)と増収だったが、営業利益は2億8300万円(同33.9%減)の減益だった。住建事業と関連する住宅ローンが好調に推移したが、ヤマダNEOBANK事業と、クレジット事業強化に伴う販売管理費の増加により減益となった。
 「環境事業」の売上高は318億300万円(同11.6%増)、営業利益は14億8900万円(同21.2%増)の増収・増益だった。
 24年3月期については、売上高1兆6860億円(同5.3%増)、営業利益505億円(同14.6%増)、経常利益551億円(同10.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益319億円(同0.2%増)を見込む。