デジタル庁と地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は5月11日、当初の予定通り、マイナンバーカードの機能(公的個人認証サービス)をスマートフォン(スマホ)で利用可能にする「公的個人認証サービス」(スマホ用電子証明書)の提供をAndroid向けに開始した。このサービス開始を受け、サムスン電子ジャパンは、「Galaxy M23 5G」を除く、「Galaxy Note20 Ultra 5G」以降のシリーズが同機能に対応すると発表した。全ての対応機種一覧はJ-LISのウェブサイトで確認できる。

●「行かない市役所」を実現 マイナンバーカードのさらなる活用を目指す


 「公的個人認証サービス」は、オンラインで安全・確実に行政手続きや民間サービスを利用するために必要な本人確認などの機能を提供するもので、マイナンバーカードの中心的な機能。この機能を利用するには、従来は、公的個人認証サービスを読み取り可能なスマホやICカードリーダでマイナンバーカードを読み取り、数字4桁の暗証番号を入力して「マイナポータル」にログインする必要があったが、スマホ用電子証明書(署名用・利用者証明用の電子証明書)を搭載したスマホではカードを読み取るステップなしにオンラインでさまざまな行政手続きができる。機種によっては、4桁の暗証番号に代わり、端末の生体認証を利用することも可能だ。
 スマホ用電子証明書を搭載したAndroidスマホで利用できる機能は、各種行政手続き(5月11日以降順次対応予定)、薬剤・健診情報/母子健康手帳などの自己情報取得、健康保険証/コンビニ交付などの資格確認(コンビニ交付は2023年内、健康保険証としての利用は2024年4月に対応予定)、銀行・証券口座開設/住宅ローン契約/携帯電話申込/キャッシュレス決済申込などの各種民間サービスにおける本人確認(5月11日以降順次対応予定)。詳細はデジタル庁のウェブサイトやリーフレットなどで確認できる。
 一部のスマホ向けアプリ・電子マネーは、機種変更手続きが分かりにくく、ユーザーに負担を強いる状況となっているが、スマホ用電子証明書は、別の機種で新たに発行しようとすると自動的に旧機種の電子証明書を失効・削除する仕組み。端末譲渡・売却時は原則、自分で失効手続きを行う必要があるが、端末紛失・盗難時はマイナンバー総合フリーダイヤルに連絡して遠隔でスマホ用電子証明書を一時利用停止することも可能とし、利便性とセキュリティを両立させた。
 なお、スマホ用電子証明書は端末の「GP-SE」という場所に格納している。必要最低限の情報にとどめており、GP-SEに格納しているスマホ用電子証明書にはマイナポータルアプリからしかアクセスできない。
 デジタル庁では、AppleのiPhoneシリーズについても対応する方針を掲げているが、対応時期は未定。当面、スマホ用電子証明書はAndroidスマホ限定のサービスとなる。