パナソニックが実施した「今夏のエアコン利用について」というアンケート調査によると、今夏のエアコン利用で「冷房ガマン派が44%」となり、「昨夏実際にガマンした」(38%)よりも上回っていることがわかった。設定温度も理想の「25℃」より1℃高い「26℃」にして我慢している様子が明らかに。パナソニックでは、熱中症対策の観点からも、無理のない範囲で節電しながら、エアコンは我慢せず、「自動運転」を活用することが効果的とアナウンスする。

●電気代の高騰で“エアコンガマン派”が増加


 調査は20〜60代の男女1106人を対象に2023年5月15〜19日で実施。「今年(2023年)の夏は節電のため、冷房の利用をガマンしようと思いますか?」という質問では、「強く思う」(9%)と「やや思う」(35%)を合わせた44%が今夏の“エアコンガマン派”であることがわかった。
 また、22年のエアコン利用状況についてたずねたところ、「かなりガマンした」(6%)と「ややガマンした」(32%)を合わせた38%が、昨夏の“エアコンガマン派”だったことから、今年は“エアコンガマン派”が増加していることが浮き彫りになった。
 続いて、夏のエアコンの設定温度に関する質問では、実際の設定温度として最も多かったのが「26℃」(17%)だったものの、理想の設定温度は「25℃」(18%)が最多となり、設定温度でも“エアコンガマン”の傾向が見られる結果となった。
 在宅時と睡眠時で「常につける」以外を選択した人に、エアコンを我慢する理由についてたずねたところ、「電気代がかかるから」が最も多い結果となった。次に「冷えすぎるから」「体に悪いと思うから」「直接風が体に当たるのが嫌だから」という続く。睡眠時に特に多かったのが「風邪を引いたり、だるさを感じたりするから」という理由だった。

●「微風」は「自動」よりも消費電力が増える


 「夏のエアコン節電のためにしていることは何ですか」という質問では、「設定温度を高くする」(42%)が圧倒的に多い結果に。夏の冷房時は設定温度を1℃上げるだけで、消費電力を約13%も削減できると言われていることが浸透しているようだ。
 その他、「エアコンフィルターの掃除をする」(26%)、「サーキュレーターや扇風機を併用し、冷たい空気を室内に循環させる」「扇風機など他の冷房器具を併用する」がそれぞれ25%だった。
 一方でパナソニックが気にしているのが、節電方法の質問で「風量を弱めにする」(23%)に対し、「オート機能や自動設定で使用する」(13%)が少なかったこと。「微風」運転の方が「自動」運転よりも節電という誤解だ。
 パナソニックの独自調査では、風量設定は、環境にもよるが「微風」にすると設定温度に到達するまでに時間がかかり、逆に消費電力が増えるという。「微風」は「自動」に比べて設定温度に到達するまでの消費電力が20%高く、到達するまでの時間も6.4分長いという結果も出ているとする。
 そのためパナソニックでは、節電方法の一つとして、エアコンの自動運転を活用を推奨する。一見節電につながりそうな「微風」より、人の調整ではなく、機械が賢く室温をコントロールする「自動」運転の積極的な活用を促す。

●1℃下げるより、「温度変えずに風量アップ」の方が節電


 また節電方法であまり知られていないのが、「設定温度を変えずに風量をアップした方が節電」ということ。設定温度を1℃下げるのに比べて、設定温度を変えずに風量をアップさせた場合、年間約1400円以上も節約できるという。空気を冷却するより、風量を強くする方が少ないエネルギーで済むため、結果として電気代が抑えられるのだ。
 こうした点からも同社では、温度や風量だけでなく、湿度も最適にコントロールする自動運転の利用が省エネに最適だとする。

●冷房時の風は上向きに


 基本的に空気は冷たいと下に、暖かいと上に滞留する。そのため冷房時はルーバーを上向きにスイングさせて、冷房の風を上向きに送るといい。冷風を直接体に当てず、自然と下に落ちてくる冷気で部屋を冷やすことができる。
 最後にサーキュレーターとの併用。サーキュレーターの併用で設定温度を上げることができれば、電気代の節約が可能になるとする。特に、ロフトのある部屋ではサーキュレーターの2台活用を提案。1台はエアコンの冷気をロフト方向に送るために、もう1台はロフトの熱い空気をエアコンの吸込口方向に送るために活用する節電方法である。
 クールビズでは冷房時の室温28℃で快適に過ごせる軽装が推奨されているが、室温28℃はあくまでも目安。日当たり状況や建物状況などによっても「暑い」「寒い」の感じ方は変わるので、部屋の環境にあわせた室温調節と節電方法を参考にしたい。