「パソコン工房」「グッドウィル」などのPCショップを運営するユニットコムは、先進的なIT製品を専門に扱う新店舗「パソコン工房 AKIBA STARTUP」を7月28日にオープンした。場所は、秋葉原電気街の中央通りから1本西へ入ったところで、組み立てPC用のパーツショップが集中する“パーツ通り”と呼ばれるエリア。VRやIoTの最新商品や、世に出回る前のIT関連商品を手にとって試せる、「体験の提供」を中心とした店となっている。

 VRやIoTなどの分野では、先進的な技術やアイデアをもつスタートアップ企業によってユニークな商品が提案されることが多いが、その多くは、資金や人的リソース、ノウハウが限られているため、広告や市場調査といったマーケティング活動を十分に行えていない。

 また、商品の販売はECサイト経由となることが多いが、ネット上だけでは商品の質感や使用感を伝えるのにも限界があるため、本来であれば店頭での展示・デモンストレーションを行うのが望ましい。しかし、大手小売店との取引はハードルが高く、少人数の企業では説明員を確保するのも難しい。このため「製品には自信があり、触ってもらえれば良さが伝わるはず。しかし、その機会を作れず、結果的に売り上げが伸びない」という悩みを抱えるスタートアップ企業は少なくない。

 パソコン工房 AKIBA STARTUPは、流通の視点からスタートアップ企業を支援し、こうした課題を解決することを目的としたスペースだ。店内の壁面が幅90cmごとに区切られており、各ブースを1カ月単位でスタートアップ企業に提供する。そして、開発者に代わってユニットコムのスタッフが来店客に対しての商品説明を行う。先進の商品を「見て・触って・体感して」もらうことを主目的としているが、一部の商品は店頭に在庫も置いており、その場で購入することができる。

 ユニットコムの親会社のMCJは、新規事業として国内スタートアップ企業の支援に力を入れており、MCJグループの強みを活用した「ものづくり系ベンチャー支援プラットフォーム」の構築を目指している。資金調達を中心としたスタートアップ支援プログラムは多いが、MCJではそれに加えて、ハードウェア事業の成功に欠かせない量産化、販路拡大、アフターサポートといった要素を、グループ各社を通じて提供するのが特徴。この中で、店頭流通や消費者との接点拡大の役割を担うのが、今回のパソコン工房 AKIBA STARTUPというわけだ。

 開発段階で消費者の反応をみるテストマーケティングの場としても店が活用されるように、店頭には完成した商品だけでなく、クラウドファンディングなどでプロジェクトが進行中のものも並べていく。ITリテラシーが高く、デジタルガジェット情報の「拡散力」が強い消費者が集まる秋葉原を軸に、リアルとネットの両方を通じて先進商品の情報を広げていくことを狙う。売れ行きや話題の盛り上がりが期待できる商品については、ユニットコムがもつ全国約70の既存店舗でも展示・販売を行っていく。

 基本的にITスタートアップによる最新商品を取り扱うが、ユニットコムの事業とシナジーが期待できるものであれば受け入れる方針で、出展は創業何年以下の企業に限るといった条件は設けていない。また、ユニットコム以外の販路を制限することもないという。すでに数か月の出展予約が入っており、今後はスタートアップ企業の商品発表の場としても活用していく考え。