スリムなボディも美肌も、手に入れるには腸内フローラのバランスが重要だということは、すでに常識になりつつある。
少し前からブームになっている大麦に加え、いま新たに注目を集める食物繊維があるとのことで、帝人×メタジェンとの合同研究成果発表会へ参加した。

注目すべきはその「発酵力」
素材メーカー大手の帝人が手がけるヘルスケア事業は、すでに45年以上の歴史がある。その帝人が本来の素材メーカーとしての領域とヘルスケア領域の掛け合わせとして注力しているのが、「機能性食品素材」だ。つまり、さまざまな食品へ添加できる“素材”を生み出していこうということ。
帝人は「死ぬまでの健康を支える」を企業の目標としている。これには未病・予防が鍵となる。それゆえ腸内フローラ(腸内環境)を整える「プレバイオティクス」に注目していて、ポテンシャルの高い素材として2014年から「スーパー大麦」、2018年から「イヌリン」の研究を始めている。
腸内に存在する菌たちは食物繊維を餌としてさまざまな物質を生成し、それが体内に吸収される。「どの菌が何を食べればどんな物質が生成されるのか」を知ること、そして応用することが腸内フローラをデザインするためには重要であり、今回の研究はその一環ともいえる。
結果、イヌリンなどは癌や肥満、糖尿病の予防、食欲の抑制などに影響するという短鎖脂肪酸を生成する力=発酵力が強いことが判明。これらを積極的に摂取していけば、腸内フローラが整い、未病・予防につながるというわけだ。

現在、日本における水溶性食物繊維の市場は難消化性デキストリンが主流であるものの、発酵力という点では同じ水溶性食物繊維ではイヌリンが大きく上回っているのだという。具体的にいうと、善玉菌に食べられる割合は難消化性デキストリンが50%であるのに対し、イヌリンは100%なのだとか。

広がるイヌリンの可能性
イヌリンは、発酵力=腸内フローラの環境改善に有用であると同時に、血糖値の上昇を抑えたり、血中中性脂肪を減らしたり、ミネラルの吸収を促進したりといった機能があることが、さまざまな研究で裏付けられてきた。
また欧米では古くからその存在は知られ、乳幼児のミルクにも使われるほどの安全性があるなど、原材料としてのポテンシャルがとても高い。

現在は乳製品などに使われることが多いが、スナックやベビーフード、ペットフードにまで使用されるようになってきているという。今後、日本でもより手軽にイヌリンを摂取できるようになってくるだろう。

基本的には劇的に変わらないといわれている腸内フローラのバランスだが、今回のような研究が進むことにより、自在にデザインできる日が来るのかもしれない。