2020年度から小学校で始まっている新学習指導要領。2021年度以降、順次中学、高校でも施行されていきます。小学校での英語(教科)の授業ではどんなことを重点的に学び、どのように評価をしていくのでしょうか。英語・言語教育研究に取り組んでいるベネッセ教育総合研究所言語教育研究室の加藤室長に聞きました。

この記事のポイント

  • 小学校英語(教科)の授業では、「英語で話すこと」を最も重点的にやろうとしている
  • 小学校英語(教科)の評価にはペーパーテスト以外の方法も
  • 「英語を聞く・話す」でパフォーマンステストが増える可能性も

小学校英語(教科)の授業では、「英語で話すこと」を最も重点的にやろうとしている

前回は、「英語がわかったり通じたりすると嬉しい」という子どもの気持ちが小学校から高校まで継続していることをお伝えしました。では、2020年度から小学校5・6年生で週2コマ程度行われている小学校英語(教科)の授業は、どのようになっているのでしょうか。

図1は、ベネッセ教育総合研究所「小中学校の学習指導に関する調査2020」(2020年8月)で、全国の小学校の先生に2020年度の2学期以降、小学校英語(教科)の授業で、特に重点的にやろうとしていることについてうかがったものです。

図1:2学期以降、英語の授業(小5・6教科)で重点的にやろうとしていること

最も多いのは、「英語で話すこと」、次いで「英語を聞くこと」です。多くの保護者のかたはご自身の中学校の英語の授業で、英単語や英文を読んだり書いたりすること、英文を日本語に訳したりすることをたくさん経験されているかと思いますので、教科となった小学校英語でも同じようなことが行われると想像されるかもしれません。

しかし、まずは「英語を聞く・話す」を重点的にやろうとされていることがわかります。新学習指導要領の前提となる、文部科学省・中央教育審議会の審議のまとめ資料の中には、小学校5・6年生の英語の到達目標例として「馴染みのある定型表現を使って、自分の好きなものや、家族、一日の生活などについて、友達に質問したり質問に答えたりできるようにする」ことが挙げられています。

これは小学校3・4年生の外国語活動で、相手に配慮しながら、聞いたり話したりすることを中心にしたコミュニケーション能力の素地を養ったあとの次のステップとして、まさに学習した単語や表現を使って、実際の場面で英語を使って表現したり、伝え合ったりできるようにすることです。

このように「できるようにする」ことが、教科の目標です。「できるようにする」ことで、子どもたちが「英語がわかったり通じたりすると嬉しい」とさらに感じられることを期待したいと思います。

小学校英語(教科)の評価にはペーパーテスト以外の方法も

「できるようにする」のですから、指導の後には「できるようになったか」を確認し、評価する必要があります。評価は保護者のかたもたいへん気になるところだと思います。では、小学校英語(教科)の評価はどのような方法で行われるのでしょうか。

冒頭でご紹介した「小中学校の学習指導に関する調査2020」では、小学校英語(教科)の評価に使うものとして、「授業中の様子」97.4%、「児童による自己評価」65.2%、「市販のペーパーテスト」60.5%、「課題の提出(ポートフォリオなど)」56.7%、「パフォーマンステスト」47.6%が8項目中の上位5つとして挙がりました。

学校では、「聞くこと」「話すこと」に加えて、「読むこと」「書くこと」の初歩的なものも指導されます。話すことには「やりとり」と「発表」という2つの領域もありますので、4技能5領域の指導を行うことになります。学校の先生は、どの技能や領域に重点を置くのか考慮しながら、これらの評価方法を組み合わせて実施し、最終的な評価を出されます。

「英語を聞く・話す」でパフォーマンステストが増える可能性も

評価方法の中のペーパーテストは、保護者のかたもよくご存じのもので、〇×や点数がはっきりしていてわかりやすいものです。一方、パフォーマンステストは、あまり馴染みのないものかもしれません。

パフォーマンスは、芸術やスポーツで、演奏や演技などを表すことばとして使われます。英語の授業では、外国人の先生やクラスメートとやりとりしたり、クラスの前で何かを発表したりすることをテストとして実施し、点数がつけられます。

パフォーマンステストは、体操やフィギュアスケートの採点のように、評価規準をもとに評価者が目で見たり、英語を聞いたりして点数を決めます。そこで、客観性ができるだけ担保されるよう、学校の先生に対して、文部科学省から評価規準のモデルが用意されたり、教育委員会が研修を行ったりしています。

「聞くこと・話すこと」の評価を、提出課題やペーパーテストだけで行うのは難しいでしょう。しかし、重点的に指導しているのですから、大切に評価する必要があります。そこでパフォーマンステストは今後、増えていくことも考えられます。

テストですから緊張はあるかもしれませんが、その中でも子どもたちが「英語がわかったり通じたりすると嬉しい」と感じられる瞬間があればいいなと思います。

まとめ & 実践 TIPS

次回(最終回)は、子どもたちが「英語がわかったり通じたりすると嬉しい」とたくさん感じられるような理想的な英語学習方法と、保護者のかたの支援についてご紹介します。

出典
ベネッセ教育総合研究所
「小中学校の学習指導に関する調査2020」(2020年8月)
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5558

プロフィール

加藤由美子

加藤由美子

ベネッセ教育総合研究所 言語教育研究室室長 主席研究員。ベルリッツシンガポールを経て、ベネッセのさまざまな英語事業に携わる。研究部門に異動後は英語教育研究を担当し、19年度からは言語教育に領域を広げて担当。